「災害初期の現地入り」はなにが問題なのか
1月1日に発生した能登半島地震で政治家やボランティア、メディアの行動が一つの争点になってしまった。れいわ新選組の山本太郎氏の現地入り騒動が代表的な事例だ。彼のSNSなどによれば、現地から窮状を訴える声が届き、1月5日に電車とレンタカーで石川県能登町まで移動した。そこで被災者の声を聞き、現地で炊き出しのカレーも一緒に食べて帰ってきたという。その後、山本氏は10日にも視察に赴いたと報告している。
5日時点で能登半島までのルートで渋滞が発生しやすくなっており、肝心の救援物資や救急搬送に影響が出ていることは県などから盛んにアナウンスされていた。この時、現地へ医療支援に入ったNPOも通常の3〜4倍ほどの時間をかけなければ医療支援が必要なエリアに入れなかったと声を残している。
同時期、自民から共産まで政治的主張を問わず、れいわ以外の与野党6党は現地入り自粛を申し合わせていた。そんな状況下でわざわざ山本氏が行く必要がどこにあるのか、という批判が巻き起こった。
批判はさらに広がり、インターネット上では彼の行動だけでなく、現地に物資を届けると息巻いた迷惑系ユーチューバー、押しかけようとしたボランティア、果ては現地入りしたジャーナリストまで批判の対象になってしまった。迷惑系ユーチューバーは論外だが、現地入りしたすべての職業が迷惑系ユーチューバーと同等であるかのような暴論も散見された。
いくつか議論が錯綜しているので、原則から確認しておきたい。災害初期の現地入りはどこまで非難される行為なのか。