男性も表立って「年の差婚」を肯定しなくなってきた
「年の差婚」は性加害的であり女性を性的価値でしか見ておらずモノ扱いしている、女性蔑視的な営みである――といった雰囲気の醸成は、それなりに成功していると思える。
というのも、近ごろは男性も表立っては「年の差婚」に対する肯定的な言動を慎んでおり、なおかつ女性に同調する形で「ずっと年下の女性と結婚する者は人間的に問題がある」といった態度を表面的には取るようになっているからだ。
社会経済的な地位が高く、「外聞」を気にしなければならないいわゆる「トップエリート」層の男性の間では、いわゆる「男性ウケ」するようなタイプの女性ではなく、スレンダーな体形の女性を好んでいる人が増えているという調査も存在している(THE WALL STREET JOURNAL「高学歴・高収入の男性はスレンダー女性が好み=米大学調査」2015年10月2日)。
公表しないだけで「ちゃっかり若い女性と結婚」
年下で(グラビアアイドル的な方向で)スタイルがよくて可愛らしい、そんなタイプの女性をパートナーに選好すること自体が「女性を若さや性的トロフィーとしてしか見ていない人」という周囲からのラベリング(白眼視)を想起し、レピュテーション・リスクにかかわる行為として、とくに「外面」を気にしなければならない立場の男性には控えられるようになっている。若い女性に「若さ」という訴求性で大きく差をつけられ、ぜひとも結婚したくなるようなエリート男性をかっさらわれてきたような中年女性にとっては、こうした「ただしさ」の風潮が全社会的に今後も拡大していくことは非常に好都合だろう。
もちろん男性はあくまで「社会性」に鑑みて「年下婚などけしからん」と言うようになっているのであって、本音では若い女性を希望しているのは上述したとおりだ。女性から糾弾されたくないから発しているだけのポーズにすぎない。平時には「女性の価値は若さではない」とか「女性は年を重ねれば重ねるほど魅力が増す」などと調子のよいことを言っていた人も、いざ結婚する段になればちゃっかり若い女性と結婚し、それを公には発表しないだけの「意趣返し」をしていることだってよくある話だ。
これからも「本音」と「道徳」の間で高度な駆け引きが繰り広げられる。