同居する3人の女優が欲していること

さて、その猟銃だが、弾を入れていなければ、発射できない。殺傷能力も破壊力もない。

ただの鉄と木の物体ともいえる。だが、弾を入れた瞬間にそれは凶器となり、武器となり、不穏な存在となる。発砲すれば、何かは壊れ、ときに命は消える。

ただの鉄と木でできた物であるときの静かさ、穏やかさ。弾を入れた瞬間に破壊力を秘め、発砲した瞬間に破壊と殺傷を引き起こす危険さ。東出さんは、女たちにとっては銃そのものだ。彼女らは、決してその銃口が自分には向けられないのも知っている。

散弾銃に弾をこめるハンター
写真=iStock.com/Scharfsinn86
※写真はイメージです

あまり猟銃の弾など見たことがない人は、まず乾電池を想像してください。銃身に、+の方がこっちに向くよう入れる。引き金を引くと中の撃針が、+のところにある雷管を叩き、雷管は火薬に点火する。-の部分には、弾が込められている。

それ自体が危険物である火薬と弾の真ん中にあるのは、ワッズ、もしくはワッドと呼ばれるプラスチック製の仕切りだ。これが火薬の燃焼で押し出され、弾を飛ばす。

普通、撃った人は狩猟でもクレー射撃でも、弾の行方や獲物、クレーを見ている。私はいつも、ワッズに目を奪われる。まさに小さなただのプラスチック片で、それ自体には危険性も殺傷力もない。だがワッズなしでは、弾はちゃんと飛ばない。

発射後、役目を終えたワッズがふわっと落ちていく姿は、命の終焉しゅうえんと燃焼を擬えて見せる。虚しさと充足感、ワッズには熱い哀しみの詩情がある。

東出さんという銃の、弾の薬莢。そこに詰められているのは火薬と弾だけなので、東出さんの熱い炎を受け、強い弾を飛ばすワッズの役目をしたがる女たちがいるのは当然だ。

彼がちゃんと弾を飛ばすためのワッズとなる女を欲するのもまた、当然なのだ。

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