住宅ローン金利は上がっていない

なぜ、不動産市場に「潮目の変化」が起きているのでしょうか。

不動産バブルが崩壊する原因として、「金利の上昇」が疑われます。

1980年代のバブルが崩壊したのは、不動産取引の「総量規制」導入と、「プラザ合意」、そして当時の日銀による金利の引き上げが原因と言われています。

現在はどうでしょうか。今の「マンションバブル」は、日銀の異次元金融緩和と切っても切れない関係にあります。歴史的な低金利環境で、住宅ローン金利が低く抑えられ、不動産需要を喚起しているのです。

もし住宅ローン金利が大きく上昇すれば、不動産需要を急激に冷やすでしょう。

ただ、今のところ、そうした急激な変化の兆しはありません。

日銀は2023年7月にイールドカーブコントロールの上限を事実上撤廃しました。これによって、日本の長期金利はやや上昇しましたが、今のフラット35の金利は1%後半あたりと、住宅ローン金利には大して影響していません。

「コロナ特需」が消滅した?

金利のほかに考えられる原因は、「コロナ特需の消滅」です。

2020年にコロナ禍が始まって以降、急激にリモートワークが普及しました。

自宅で仕事をする人が増え、手狭なマンションより、間取りに余裕のある「一戸建て」の需要が急増しました。

間取りに余裕のある「一戸建て」の需要が急増
写真=iStock.com/KatarzynaBialasiewicz
間取りに余裕のある「一戸建て」の需要が急増(※写真はイメージです)

これによって中古戸建住宅市場が活況を呈し、これが近年の不動産市場を大きく底上げしてきました。

ただ、コロナ禍が開け、人々がオフィスに戻りはじめたことで、逆方向への揺り戻しが起きていると思われます。

大体2022年の半ばごろからこうした動きが顕著になってきています。