見栄やプライドでは選ばない

お金持ちの車の選択がこのようになるのは、車の維持費とリセールバリュー(再販価格)に大いに関係があるように私には思えます。

いかにもセレブ感のある高級スポーツカーは、普通の車に比べると維持費もモンスター級です。実際に持っているお金持ちの方から、「好きだから乗っているけど、税金(車両税)はもちろん、自動車保険に付帯する車両保険代や、車検などのメンテナンスにかかる費用まで、すべてが普通より高く付く恐ろしい乗り物だよ」と教えてもらったこともあります。

また、いかにもお金持ちが乗っていそうなイメージのあるポルシェのカイエンやベンツのGクラスといった高級SUVは、駐車場によっては車高やタイヤ幅などがサイズオーバーとなってしまって利用できないなどの使い勝手の悪さがあります。

こうした維持費の高さや使い勝手の悪さを気にして、これらの高級車を選ばない、というお金持ちの方が結構いるのです。

そして、ハリウッドのスーパーセレブなどがこぞって乗っている完全電気自動車(EV車)については、まだまだ使い勝手が改善途上と考えられているのと、乗り換えをする際のリセールバリューが低い、という主に二つの理由で積極的には選ばれていないようです。

高額商品を買うときに考えていること

EV車のリセールバリューについては、実際には一部の車種だけの問題とも言われていますが、ハイブリッド車やガソリン車より低いと見られているのが現実でしょう。そのため、お金をお得に使うことにこだわっているお金持ちには、まだまだ選ばれにくい現状があるようです。

とはいえ、南青山にあるテスラのショールームの前を通ると、購入を検討している芸能人や経営者が出入りしている姿を目にすることがあります。国内でも人気が急上昇中なので、これについては今後潮流が変わってくるかもしれません。

いずれにせよ、維持費とリセールバリューの両方で高いコスパを期待できるのは、高級車やEV車のような「尖った車」ではなく、市場での評価が高く中古のニーズも高い車です。そうなると、自然とセダンタイプのハイブリッド車が選ばれる、というわけです。

立川健悟『お金持ちは合理的』(すばる舎)
立川健悟『お金持ちは合理的』(すばる舎)

実際、車の色はリセールバリューが高くなりやすい白か黒がお金持ちでも多数派で、彼らがこの点を非常に重視していることがわかります。

車のような高額の買い物では、商品の現在価格だけにとどまらず、日々のランニングコストや数年先のリセールバリューまでを考える視野の広さ・深さが必要なのだという教訓を得られます。

ちなみにお金持ちがリセールバリューを必ず考える買い物には、「高級腕時計」や「ブランドバッグ」「宝石類」などもあります。

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