英語力の有無で大きな収入差が出るのは40、50代

横川氏がまず挙げたのが、グローバル化の中での企業の規模。

「日本企業の海外進出が加速しています。また、外資による地域活性化を目的に、国は外資系企業の誘致を進めています。当然、そこでは英語のできる人材が求められるわけですが、日本から海外に行くのも、海外から日本に来るのも、本国では大手企業というケースが多くあります」

外国人とのやりとりが必要とされる会社の多くが大手、つまりは高い給料を払える会社というわけだ。そこで働く「英語のできる人」は、高収入を得られる。

ところで現状、英語力のあるなしで大きな収入差が出るのは若い世代よりも50代や40代。これはどういう理由なのだろうか。

「日本に進出した外資系企業にとって大事なことは、日本のマーケットを開拓することです。お客さんは日本人。そこでは日本語による営業スキルが求められます。若いうちは、英語を使う機会は上司や同僚との会話程度です。でも管理職になれば、本国とのやりとりが中心になってきます。本国との会議できちんと物を言えないといけません。ビジネス会話ができないから、マネジャー以上のポジションにつけないということがありうるのです」

日常会話とビジネス会話との違いについて、横川氏は面白い例を挙げた。腹痛で病院に行ったとき、「おなかが痛い」としか言えないレベルと、「おなかのこのあたりが断続的に刺すように痛い」などと、痛みの状況を具体的に説明できるレベルとの差だという。

「ビジネスの場面でも、語彙ごい力が足りないと、話している内容がすべて抽象的になり、説得力を持ちません。こちらが何を求めているのか、相手に何をどうしてほしいのか、具体的に説明できる英語力が必要とされます」

語彙力や表現力を駆使して、自分の意見をきちんと外国人に示すことができるか否かで、ビジネスパーソンの収入が大きく変わってくるのだ。

「英語できちんと自分をアピールすることも大事です。言われたことをそのままやるだけで、自ら発信をしない働き方では認められません」

『プレジデントFamily2024冬号』(プレジデント社)
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横川氏はまた、新型コロナウイルス禍も、英語力の必要性を加速させた理由の一つだと分析する。

「コロナ禍で一般的になったのがオンラインでのミーティングです。これにより、場所の概念がなくなってきたのですね。これまでならわざわざ海外と行わなかったようなやりとりも、当たり前のようにオンラインでできるようになりました。つまり、英語での交渉が日常的になってきた。今後、さらに増えていくでしょう」

となると、若い世代でも英語で海外の取引先や上司と話す機会が増えていくことになる。20代、30代での収入差もさらに広がるという見通しはこのためだ。