人から裏切られたとき、あなたはどんな感情を抱くだろうか。前明石市長の泉房穂さんは「私は裏切った人の葛藤を想像すると、恨めしいと思わず、むしろ快感のようなものを覚える。人は誰も裏切らずに人生を送ることはできない」という――。

※本稿は、泉房穂『20代をどう生きたらいいのか』(さくら舎)の一部を再編集したものです。

吹き出しを掲げるビジネスパーソンたちの腕
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自分と意見が違う人こそ大事にする

自分と意見の違う人、感性の違う人といると、イライラしたり疲れたりします。自分とは違う考え方を強制されれば、その人に支配されていると感じることもあるかもしれません。どうしても付き合わざるをえない人であれば、面倒に感じるでしょうし、自分の気持ちをごまかすこともあるでしょう。

人によっては、自分と意見を異にする人を排除しがちです。

でも本当は、そういう人こそ大事にすべきです。

私はメディアの取材などで対談をするとき、オファーをされたら断らないようにしています。「この人とは対談したくない」などと相手を選ぶことはないようにしているのです。

他人と話すときは、自分と違う考えだからこそ楽しいし、ぶつかりがいがあるものです。それに物事は、自分と違う考えの人間も巻きこまなければ広がっていきません。自分を応援してくれる人、理解してくれる人とだけ付き合っていてもあまり意味がないのです。

そういうわけで、私は自分に対して厳しい人こそ大事にするのがいいと思っています。

「考えの違う人を味方に変えられないようで何ができるのか」と思いますし、たとえその人の考えが変わらなくても、「なるほど、そういう考え方もあるんや」と、私自身、新しい発見につながることもあります。

意見の合わない人との「感情のざらつき」こそ面白い

それまでの自分の人生で知らなかっただけで、「この人はそういうふうに生きてきたんやなあ」とか、「そういうふうに受け止めるんやなあ」と、うなずくこともあります。

当然、私が大切に思っていることが、人によってはそれほど大切でないこともあります。興味が違うこともあれば、価値判断や発想の仕方が違うこともあります。

たとえば、物事を「利益につながるかどうか」で判断する人もいれば、私のように故郷をいちばんに思う人もいますし、家族こそが大切だと思う人もいます。それだって、一人ひとりがそんなに明確に分けて考えているわけでもなく、それぞれ微妙にグラデーションがあるでしょうし、また、同じ人でも日によって考え方が変わったりもします。

そこが人間のおもしろいところだし、魅力的なところなのではないでしょうか。

自分の味方、自分と同じ考えの人だけと付き合うと、それ以外の人に排他的になってしまいがちです。いろいろな人と付き合って、感情がざらつくときもあるかもしれないけれど、それも「人間っておもしろいな」と俯瞰ふかんしてみる。

こんなところが人付き合いや人生を楽しむコツなのではないかと思います。