※本稿は、岩田圭弘『数値化の魔力』(SBクリエイティブ)の一部を再編集したものです。
ボトルネックの解消で結果を最大化する
前回の記事でもお伝えしましたが、本題に入る前に、キーエンスの数値化について、再度おさらいしましょう。
“キーエンスの数値化”とは、いわば「プロセスの数値化」です。
たとえば、「受注件数○件」を目標とする営業であれば、受注(結果)に至るまでの「DM→電話→アポ→面談→商談化」の各プロセス(行動)を分解します。
「採用人数○人」を目標とする人事であれば、採用(結果)に至るまでの「応募→書類選考→一次面接→二次面接→最終面接→内定承諾」の各プロセス(行動)を分解します。
そして、それぞれのプロセス(行動)に数字的目標を立て、日々その実績を記録していきます。
こうして、結果に至るまでの自分の行動を分解し、数値化することで、自分の行動のどこにボトルネックがあるのかが見えてきます。そのボトルネックを解消していくことで、「仕事の結果」を最大化していきます。
これが“キーエンスの数値化”です。
最初にゴールとなるKGIを設定する
STEP1 ゴールを定量化する
実際にどんな風にプロセス(行動)を数値化するのでしょうか。具体的なステップを説明していきましょう。
まずは、目標(ゴール)を定量化します。ダイエットで言えば「目標の体重」です。特にビジネスシーンでは、これは「KGI(Key Goal Indicator)」と呼ばれます。
KGIとは目標が達成されたかどうかを評価するための指標で、営業であれば目標とする売上や利益、受注件数、人事で言えば目標とする「採用人数」などだったりします。
ゴールを定量化するのは、会社から求められている役割をまっとうするために目指す指標が必要なためです。会社から仮に今月の目標として「売上300万円」を与えられているのであれば、「KGI=1カ月で売上300万円」となります。
このKGIの設定内容によって、各プロセス(行動)で必要となる「行動量(どれだけの『行動の量』が必要か)」や「転換率(どれだけの『行動の質』が必要か)」が変わってきますので、KGIはこの後のすべてのステップの原点となる数字です。
KGIを設定するときのコツは、会社から与えられた目標よりも高い目標を持つことです。
なぜなら、人は基本的に目標値を下回る結果を出しがちだからです。大体、8~9割の達成率になることが多いです。そこを織り込んで3割増しくらいのKGIを設定するのがコツです。
たとえば、会社から与えられた今月の目標が売上300万円であれば、3割増しの390万円をKGIに設定します。