JR東日本の利益を食いつぶす
JR東日本が「ご利用の少ない線区」として指定した34路線・62区間には、他にも「特急・貨物列車が走る本線格としての規格維持で経費がかかる」(羽越本線・村上駅―鶴岡駅間。年間49億4000万円の営業損失、赤字額で第1位)、「新宿に直通する特急のために、電化設備などの経費がかかる」(大糸線・白馬―南小谷間。営業係数第10位)など、経営がうまくいかないさまざまな事情がある。
JR東日本の決算資料によると、運輸事業(鉄道事業)の2022年度の営業損失(赤字)は約241億円。「流通・サービス事業」「不動産・ホテル事業」「運輸事業」の3つのセグメントで、「運輸事業」のみが赤字だった。「ご利用の少ない線区」の赤字648億円が利益を食い尽くしたといえる。
ローカル線を中心とした「ご利用の少ない線区」は、もはや限界まで合理化がなされている区間も多く、長距離の切符を買える窓口の閉鎖、列車本数の極端な減便など、合理化によってサービスが既に低下しているケースも見られる。
今後「ご利用の少ない区間」の収益が改善されず、いま経営が成り立っている区間すらサービスを削ってしまった場合、さらなる顧客離れを生む可能性もある。
とりわけ利用者が少ない区間を中心に、今後は、「本当に鉄道の必要があるのか」「沿線で経費負担をお願いできないか」という根本的な部分も含め、コスパ改善に向けて、各自治体との話し合いが進められていくだろう。