横隔膜を動かして呼吸をすれば、お腹がへこむ
呼吸を司っているのは肺です。でも肺には筋肉がありません。ですから、呼吸をするときには肺はまわりの筋肉の力を借りて、胸郭を広げたり、縮めたりしています。
その強力なサポーターが呼吸筋と呼ばれる筋肉群です。呼吸筋は首から下腹部にかけて20種類以上もありますが、中でも最も重要な役割を担っているのが横隔膜。肺の底にドーム状についている膜のような筋肉です。しっかり吐くとこの横隔膜が上がって肺がしぼんで空気が自然に押し出され、吸うと横隔膜が下がり、空気が肺に入ります。
ところが口呼吸では、ほとんど横隔膜を動かしていません。浅くて速い呼吸なら、横隔膜を動かさなくても簡単にできてしまうからです。
その悪いクセから抜け出すために行うのが、「やせ呼吸」のひとつとして紹介する横隔膜呼吸。これは「吸うときに胸とお腹がふくらんで、吐くときに胸がしぼみお腹がへこむ」呼吸法です。この呼吸をすると横隔膜がよく動くようになり、連動してお腹まわりの呼吸筋が刺激されます。特に、体幹でコルセットのようにお腹を引き締めてくれる腹横筋が刺激され、お腹がどんどんへこんでくるはずです。
はじめは意識しないと横隔膜を動かせないかもしれません。でも、これが習慣になれば普段の鼻呼吸でも横隔膜を始めとする呼吸筋を使えるようになります。1日2万回以上している呼吸がすべて体にいい効果を生む呼吸に変わる! まるで夢のようだと思いませんか?
呼吸において重要なのは酸素よりも二酸化炭素
やせるためには酸素と二酸化炭素のバランスが大事です。呼吸をするときに二酸化炭素は酸素以上に大事な存在です。
息を吸って肺に取り込まれた酸素は、血管の中を赤血球のヘモグロビンによって運ばれます。その酸素を全身の臓器へと手渡しするのが二酸化炭素の役目。二酸化炭素が十分にないとヘモグロビンが酸素を切り離すことができず、せっかくの酸素は血管内をぐるぐると回るだけで、そのうち呼気として外に出てしまいます。
このように全身に酸素を届けて代謝を上げるには、空気をたくさん吸うことより、適度な量の二酸化炭素を体内にとどめておくことが大事。それには酸素と二酸化炭素のバランスを整える1分間10回の鼻呼吸がよいのです。