配当利回りの高さだけを注視していると足をすくわれる

「配当が高ければ高いほど株主が得するのでは?」と思う人はよく考えてみてください。税引後の利益である「純利益」のうち、会社がどれだけ配当金の支払いに向けたかを「配当性向」といいますが、大企業を中心に配当性向は30〜40%のところが多いです。

配当性向が高いということは、その分「会社の利益を株主のために使ってしまっている」ことを意味します。

とくに新規上場したばかりの企業に多いのですが、配当ゼロで利益を「今後の成長のために先行投資する」と表明する企業もたくさんあります。私は成長していく企業が好きなので、配当をそこまで重視していないのです。

その会社が配当についてどういう考えを持っているかを知ることは重要ですが、高配当狙いのときにも、配当利回りの高さだけに注目するのでは、そのうち足をすくわれるでしょうね。

笑顔のシゲルさん
撮影=川瀬典子

単に高配当だからといって銘柄を選ぶよりは、業績が安定していて、安定的に同じ水準の配当を出す企業を選ぶのがいいでしょう。

たとえば商社のなかでも、住友商事や双日といった銘柄は配当利回りが4%近いです。この規模の大企業が急に業績不振になることはまれでしょうから、リスクをあまり冒したくない人にとってはオススメできる銘柄です。

株の売買は「1:2:6」のルールを意識

なお、私は株を売買するときは、「1:2:6」のルールを意識しています。

「この株はよさそうだ」と思ったら、まず打診買いで1000株程度買ってみて、「やっぱりよさそうだ」と思ったらさらに2000株、「これはいける」と思ったら6000株を購入するというやり方です。売る場合も同じです。

とくに展開が読みづらい場面や、これまであまり取引のない株に関しては、このルールで買いますね。

もちろん予想に反し、1000株買ったときよりも2000株を買う時点のほうが値上がりしたり、売るときにも値が下がったりしてしまうこともありますが、いきなり大量に売買するよりもリスクは低く、結果として利益につながりやすいです。

【図表】図解でわかるシゲル流1:2:6のルール
出典=『87歳、現役トレーダー シゲルさんの教え 資産18億円を築いた「投資術」』(ダイヤモンド社)イラスト=カツヤマケイコ