阪神なんば線が大ヒットのした2つの要因
その後も順調に成長し、阪神なんば線の利用者は開業初年度の5万8000人から10年間で約10万人に到達した。阪神なんば線の成長に呼応し、神戸三宮駅の1日の利用者数も約8万7000人から11万人以上に伸びた。
そして、神戸三宮~近鉄奈良間の快速急行の両数にかんして、開業当初は神戸三宮~尼崎間では6両編成だった。現在は平日夕ラッシュ以降と土休日は、全線にわたり8両編成で運行されている。増車するだけ利用客が増えているというわけだ。
ただし、2022(令和4)年12月ダイヤ改正では平日日中時間帯は減便となり、時間帯・曜日により利用者に差が生まれているという点も指摘しておきたい。
阪神なんば線大ヒットの要因は、乗り換えなしで神戸~奈良間が移動できること、阪神沿線から難波へダイレクトにアクセスできる点が挙げられる。その他の要因として挙げられるのが沿線環境だ。
阪神なんば線沿線は集客施設に恵まれている。まず、ドーム前駅周辺にはプロ野球チーム・オリックスバファローズの本拠地「京セラドーム大阪」(京セラドーム)がある。京セラドームはコンサートなどのイベントにも使われ、土休日でもラッシュ時並みに車内が混雑することが珍しくない。
西九条駅の重要度が増す
ふたつ目はユニバーサル・スタジオ・ジャパン(USJ)の存在だ。USJは阪神なんば線沿線にはなく、JRゆめ咲線(桜島線)沿線にある。だが、阪神なんば線からのアクセスは簡単だ。阪神なんば線・JRゆめ咲線の接続駅西九条駅から最寄り駅のユニバーサルシティ駅まで5分だ。
USJは関西を代表するテーマパークだが、2010年頃は来場者数が伸び悩んでいた。2014(平成26)年にハリー・ポッターエリアがオープンし、V字回復を達成。インバウンド客の増加もあり、西九条駅の定期外の乗降客数が増えた。
2025(令和7)年には夢洲で大阪・関西万博が開催される。JRゆめ咲線は万博へのアクセス線として活用され、西九条駅の利用者数の増加が予想される。これからますます、阪神なんば線が果たす役割は大きくなることだろう。