「お酒が好き」「比較的強い」人ほど要注意
肝臓機能は年齢とともに低下し、アルコールの分解スピードも遅くなります。アルコールの分解速度のピークは30代といわれ、その後徐々に処理能力は衰えます。にもかかわらず、若い頃と同じ飲み方をしている方は要注意です。お酒が好きで比較的お酒に強い方には特に気をつけてほしいと思います。
短時間に大量のアルコールを摂取することで意識を失い、危険な酩酊状態を呈する「急性アルコール中毒」に対し、「アルコール依存症」は、長年にわたる大量の飲酒により生じる様々な問題を総称した状態を指します。
2016年の厚生労働省の調査によると、アルコール依存症による外来患者数は約12万人で、潜在的なアルコール依存症者数は約57万人にも及ぶと発表しています。アルコール依存症は想像以上に多く、ご自身で気づいていないケースも多くみられます。(厚生労働省「特集 依存症は“回復 病気”です」)
アルコールはれっきとした依存性薬物で、覚せい剤同様、脳に影響を与えます。症状が進行すると、飲む量やタイミングもコントロールできなくなり、日常生活でさまざまな支障をきたします。重症化すると、酒が抜けてくるとイライラや震え、頭痛といった「離脱症状」が出現するようになり、体に悪いと分かっていても飲酒をやめられなくなるのです。
アルコール依存症は「本人の意思の問題」ではない
健康面では肝硬変や認知症、がんなどのリスクが高まり、やがて心のバランスも崩れ、うつ病などの精神疾患を引き起こす場合もあります。また、暴力や事故、失業といった重大な社会問題にも発展する場合もあります。1日3合以上飲酒する人は月に1~3回飲む人と比較し、自殺のリスクが2.3倍も高まるというデータもあります。(国立がん研究センター がん対策研究所 予防関連プロジェクト「飲酒と自殺について」)家庭への影響も強く、アルコール依存症の人は離婚率が高い傾向にあり、虐待で親権を喪失する可能性もあります。
アルコール依存症の治療はなかなか難しいのですが、早期に発見して治療を受ければ回復することはできます。末期になると治療は難しく、死に至る危険性も高まります。国税庁の調査によると、アルコール依存症による長期予後の死亡率は20~40%と発表しています。(国税庁「飲酒習慣者の推移」)
治療としては「断酒」が理想です。そのための中間目標として、飲酒量を減らす「節酒」を目指して治療を開始することもあります。また、本人の意思だけでは治療が難しいため、多くの場合は入院治療が選択されます。依存症は本人の意思の問題ではなく、“自分ではコントロールできない”状態になる病気なので、治療には専門の医療機関への受診が必須です。また、家族など周囲の人の理解と協力も必要不可欠です。
楽しいお酒も、量を間違えると取り返しのつかない事態を招きかねません。これからお酒の席も増える季節です。適量を心がけ、楽しく飲みましょうね。


