仲良しでいたいなら積極的に離れるべき

この大原則は、子供が建てた家に親が同居する場合も同じように適用される。

最近は、親のほうも子のほうも進んで親子の同居を求めるケースは少ない。ただし、都会に出てきた子供が大きくなって都会で家を建てるとき、「将来、田舎にいる親を引き取って同居するかもしれません」と1部屋余分に設けることはある。そんなとき、施主である息子夫婦が建築家に出す要望はいつもこんな内容と決まっている。

「親の部屋は、私たち夫婦となるべく顔を合わせなくて済むような場所にしてもらえますか。可能なら部屋にミニキッチンくらい付けておいてもらえると助かります」

藤山和久『建築家は住まいの何を設計しているのか』(筑摩書房)
藤山和久『建築家は住まいの何を設計しているのか』(筑摩書房)

互いの縄張りが干渉しないよう、子供はみずから親を遠ざける方向で調整をはかる。仲が良いとか悪いとか、そんな話はひとまずおいて、生き物の本能が親を自然と遠ざけるのである。

親と子をめぐる家づくりの要諦は、未来永劫えいごうこのワンポイントだけだろう。

互いに安心して仲良く暮らしていく秘訣ひけつは、なるべく距離を保つこと、互いを適度に遠ざけること。この距離感が生き物の本能に即した無理のない住環境をつくる。

いつまでも仲良しを続けたければ、積極的に離れることだ。

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