多元方程式とく他部門との熟議
高萩光紀●たかはぎ・みつのり 1940年、東京都生まれ。64年、一橋大学法学部卒業、日本鉱業入社。93年、ジャパンエナジーが発足。94年、同社取締役、98年常務、2001年専務執行役員、02年社長。同年、新日鉱ホールディングスが発足。06年、同社社長。10年、新日本石油と新日鉱の経営統合でJXホールディングスが発足、同社社長。
1986年7月、石油業務部の副部長となる。45歳。会社は原油を輸入し、製油所で精製して、ガソリンや軽油などの製品をつくり、販売を任せている共同石油(共石)へ渡していた。その流れの中で、共石との接点になる部署だった。
さまざまな石油製品を、いつ、どれだけ、共石の販売網に渡せばいいのか。それに合わせて、どこの製油所に、何を、どれだけ、いつまでにつくらせればいいか。さらに、ひとくちに原油といっても種類が多く、精製時に出る製品の構成比がそれぞれ違い、販売価格も違う。それらの点をすべて考慮して、全体の精製計画をつくる。多元方程式を解くような日々が、始まった。同じ石油事業本部の仕事でも、20代の半ばから続けてきた原油調達の計画役や産油国との交渉役とは、様変わりだ。
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