自民党は「被害者の自助で教団と裁判やって」というのか
11月17日に、司法記者クラブで全国霊感商法対策弁護士連絡会(全国弁連)の会見が行われました。重要ポイントは2つありました。
(1)与党プロジェクトチーム(PT)による「旧統一教会による被害者救済のための提言と法案」への見解
(2)取り交わした合意書があるとして、旧統一教会被害者への約1億8000万円の返金の訴えを退けた1審の判決を取り消して、地裁に差し戻した11月15日の東京高等裁判所の判決に関して
これらにより、旧統一教会の被害者救済の道にひとすじの光が差したとともに、大きな課題も浮上しました。
まず、(1)について。
全国弁連所属(以下同)の木村壮弁護士は、全国弁連の声明を読み上げ、与党PTが出した提言および法案に対して一定の評価を示しました。法テラスによる民事法律扶助業務の拡充など、被害者救済の検討がされたからです。
ただし、その一方で「統一教会による被害の実態に即した実効性のある被害救済とは評価できず、特に財産散逸を防ぐためには不十分であり、包括的な財産保全を可能にする特別措置法の立法が必要」との見方を示しました。
そして「旧統一教会の解散命令請求が行われた以上、被害者救済のための財産保全も個々の被害者の自助努力に委ねられるべきではなく、国として正面から法整備をして対応すべきもの」として、与野党が党派を超えて速やかに協議を行うことを求めています。
阿部克臣弁護士も「現在危惧されているのは、統一教会による財産隠しですが、与党PTが提言するものは、財産保全のための取り組みとしては不十分」として「結局は、被害者の自助努力で(裁判を)やってくださいということになり、政府が解散命令請求を行った状況下で、被害者に負担が大きい司法手続きをしてくださいというのは、適切な対応ではない」と指摘しました。
つづいて、(2)について。
旧統一教会を相手にした裁判(返金裁判など)の大変さは、(2)の結果を見てもよくわかります。