熊田曜子の賛同と、それに対するバッシング

SNSやネットニュースのコメント欄ではお叱りの嵐で、その多くが、「これは不倫関係である」「肉体関係なしの恋愛などあり得ない」とし、ゆえにセカンド・パートナーなどという関係など成り立たず、所詮は著者による紙の上の絵空事だという声まであったくらいだ。

しかし、私のもとには、お叱りの声と同じくらいの数で、「実は私もそうした関係の異性がいる……」という、賛同ではないが、「事実のご報告」とでもいうべき声が寄せられた。

もしかすると実際にそうした関係を持っている人はわざわざ声高に話すことでもないとして、ネット上での書き込みを控えていたのかもしれない。

そして、セカンド・パートナーという言葉が世に浸透する大きな契機となったのは、女優の熊田曜子さんが情報番組「ノンストップ!」(フジテレビ系、2017年6月23日オンエア)にて、その関係への賛同と願望を述べたことだろう。

この熊田発言もまたバッシングを浴びた。やはり既婚の身である以上、いかなる関係であっても異性との関わりを持つことはアウトというのが、当時の世相だった。

あやなんに対する「好意的な声」の背景

この傾向はコロナ禍の「自粛」でさらに拍車がかかった感がある。

だが何事も常識の振り子が働くようだ。行き過ぎた自粛は、いつしか人々の間に「自粛疲れ」として捉えられるようになっていた。

そしてコロナ禍もようやくひと段落した今、景気は回復基調にある。

そうしたなか人気YouTuber・あやなん氏の「セカパ・カミングアウト」のニュースは、ネット上ではバッシングもさることながら、わずかながらも好意的な声が見受けられた。

東京コミコン2022に登場した東海オンエアのしばゆーさん
写真=時事通信フォト
東海オンエアのしばゆーさん。妻のあやなんさんが「セカンド・パートナー」の存在を告白した(2022年11月26日、千葉県千葉市の幕張メッセ)

セカンド・パートナーへの賛同と願望を口にしただけで世間からNOを突きつけられた2017年の熊田発言の頃と比べると、世相は緩やかながらも変わったといえよう。

よくも悪くもセカンド・パートナーという存在が世に認められる時代へと移ろった。

コロナ禍の終焉しゅうえん、そして景気回復により、人々の心に余裕が出てきたといったところか。

とはいえ、いくらこの関係が世間で認知されようと、やはり人々の大勢は否定的な見方を崩さないだろう。