耳を疑うような「大人の恋愛」の実態

疑問に思ったこと、それを調べてカネにする。これが物書きの特権だ。この疑問を抱いて以来、折に触れて、私の周囲にいる友人、知人ら何人かにこれを問いとしてぶつけてみた。すると予想だにしない答えが寄せられた。

ある既婚男性曰く、「配偶者ではない異性。だからこそ心のうちを素直に明かせる」という。ある既婚女性に至っては、「配偶者だと、時に構えたり、取りつくろったりする。だから配偶者以外の異性についつい甘えてしまう」と、配偶者とは別の異性の存在があることを明かした。

こうした声を受けて、ぼつぼつと取材を進めていくと、既婚の身にある男女のうち、配偶者とは別に、肉体関係こそないものの心の奥底で深い繋がりを持つ異性――すなわち「セカンド・パートナー」とも言うべき存在がいる人が意外にも多く、驚きを禁じ得なかった。

彼、彼女たちを見ていると、どうやら心の内ではみずからの配偶者よりもその位置づけは高いところに置かれている。それだけに、関係性は余計に不倫でも浮気でもなく、純愛というか、それこそ先でも触れたシンシアリーなものと捉えていた。

夜に街でワインを楽しむカップル
写真=iStock.com/kieferpix
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強面の50代男性が発した「少女漫画のようなセリフ」

「体の関係を超えた深い絆――だからこそプラトニックなままで、ずっと、それこそ生涯続く関係でいられると思う」

今から7年くらい前、当時、50歳も半ばを超えた男性の言葉である。日常ではやり手の新聞記者という強面を崩して、まるで少女漫画のセリフのような言葉を臆面もなく吐く様を今でも時折思い出す。それだけインパクトが強かったと同時に、彼の本気というか真剣な気持ち、まさにシンシアリーな彼の想いが伝わってきたからだ。

いくら所詮は男と女といっても、やはり既婚者であり大人である。それまでに背負ってきた人生、仕事でのキャリア、家庭人としての責任は免れない。

みずからの想いに突っ走り一線を越え、たったの一度でも体の関係を持ったとなれば、これが露呈したときの代償は計り知れないものがある――。

心なしか、こんな言葉にはならない彼の胸の内が透けてみえた気がした。