無添加をうたった手作りマフィンを食べた人の健康被害が報告されている。科学ジャーナリストの松永和紀さんは「添加物や砂糖を減らせば食品は安全になるというのは幻想だ。手作り・自然派で食品を売り出すには、原材料に対する豊富な知識や調理場での入念な衛生管理、職人としての高度な技術と経験が求められる」という――。
ブルーベリーマフィンや他のマフィン
写真=iStock.com/grandriver
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「砂糖少なめ・無添加なら安全」は幻想

東京ビックサイトで11月11日、12日に開かれたイベントで売られたマフィンが、ソーシャルメディアで大炎上しています。買って食べた客がX(旧ツイッター)で腹痛と吐き気を訴え、ほかの購入客も「腐った臭いと味。糸を引いている」などと投稿して、騒ぎになっています。

販売した焼き菓子店は、Instagramで「全て防腐剤、添加物不使用で市販の焼き菓子の半分以下のお砂糖の量で作っており、離乳食完了期のお子様より安心してお召し上がりいただけます」とアピールしていました。そのためか、個人のソーシャルメディア投稿でも炎上を報じたウェブメディアでも、「添加物不使用が災いした」などと表現されています。

しかし、添加物は、衛生管理のまずさを全部カバーするような効果は持っていません。そもそも、マフィンを保存料や日持ち向上剤などの添加物を使わず作り、安全に提供している店が多数あります。

今回の騒動は、添加物があるかないかという単純な話ではなく、さまざまな原因が重複して健康被害につながったようです。「添加物を抜けば、体に悪い砂糖を抜けば、食品は安全になる」というのは幻想。家庭でのパンや菓子作りの趣味が高じて店を開きたいと考える人は多いのですが、手作り・自然派の感覚のままではダメ。家庭で作ったものをすぐに食べるのなら問題は生じにくいでしょう。しかし、不特定多数に広く売るための 食品製造はもっと奥が深い。どこがダメなのか、解説します。