年間800万円も交際費を使える

交際費の基本について、ご説明しましょう。

長い間、大企業については原則として交際費の損金算入は全額認められていませんでした(2014年税制改正によって50%まで損金算入可能に)。

が、資本金1億円以下の中小企業では、年間800万円までか、接待交際費の50%を経費に計上できます。

ひとり社長の場合、800万円も交際費が使えるなら、普通は十分でしょう。

税務署と「見解の相違」が起きやすい

ただし、この交際費という経費は、税務署と見解の相違が起きやすいものでもあります。

税務署としては、私的経費が含まれているのではないかと常に疑いの目を持っています。

仕事には全く関係のない、私的な交際費であれば経費にできないので、税務署はそれを見つけ、あの手この手で交際費を否認してこようとします。

ストップサインをする日本のビジネスマン
写真=iStock.com/mapo
税務署と「見解の相違」が起きやすい(※写真はイメージです)

が、少しでも仕事に役に立つ交際であれば交際費に含めて問題ありません。

また交際費が仕事に関連するかどうかの明確な基準はありません。

何が判断基準になるかというと、納税者が「交際費と判断したかどうか」が第一の基準となります。

日本は申告納税制度を採っているので、納税者の申告は原則として認められます。

税務署側が、その交際費を否認する明確な証拠を持っていない限り、否認できないのです。

税務署は税務調査で、「交際費が多すぎる」などと文句を言ってくることもあります。

が、交際費が多すぎることを理由に否認できるものではありません。

一つひとつの交際費が、きちんと条件に該当しているのであれば、多すぎるからダメなどということはありえないのです。

ただ交際費について税務署の目が厳しいのは確かなので、領収書や相手先などの記録をきちんと残しておく必要があります。