「会社を作ると節税になる」というのは、本当なのか。元国税調査官の大村大次郎さんは「日本の会社の6割は利益を出しておらず、法人税を支払っていない。法人化すれば、さまざまな節税策をとれるのは事実だ。ただし、確実に有利になるとは限らない」という――。
※本稿は、大村大次郎『ひとり社長の税金を逃れる方法』(かや書房)の一部を再編集したものです。
「法人化で税金が安くなる」は本当か
起業に関する本などではよく「事業を会社組織にすれば税金が安くなる」というようなことが書かれています。
確かに、会社と個人事業者を比べれば、会社のほうがたくさんの節税方法があります。会社は個人事業よりも多様な経費の計上が認められているからです。
しかし、だからといって、会社のほうが確実に税金上、有利かと言えば決してそうではありません。
というのも、会社をつくると、個人事業者より多くの種類の税金が課せられるからです。
会社を持つと最低7万円程度の税金がかかる
会社が負担する税金は、法人税、地方法人税(国)、法人事業税、法人住民税(都道府県)、法人住民税(市区町村)の5つです。(図表1)
このうち、法人住民税については、会社が赤字の場合でも一定額を支払う必要があります。
税金には、2つの方法があります。1つは利益に応じて税金を課す方法。もう1つは法人の規模に応じて一定額を課す方法(均等割)です。
均等割は、利益が出ても出なくても必ず支払います。
もっとも規模が小さい会社の場合(資本金が1000万円以下、従業員50人以下の会社)でも、最低7万円程度はかかります。
つまり、会社を持てば、最低7万円程度の出費が必要です。
一方、個人事業者の場合、収益が出なければ税金はかかってきませんので、どちらが得かは状況次第ということになります。