薬の服用は何を判断基準にすればいいか。医師の和田秀樹さんは「薬を出しただけちゃんと飲んでくれない患者さんはいっぱいいるが、薬を飲み忘れて具合が悪くなったという話はほとんど聞かない。インスリンがほとんど出なくなる1型糖尿病のような病気以外は、薬なんて医者に相談せず自己判断でやめていい」という――。
※本稿は、和田秀樹『和田秀樹の老い方上手』(ワック)の一部を再編集したものです。
医者が出した薬を勝手にやめても問題はありません
医者から処方された薬を勝手にやめていいのかというのが今回のテーマです。
この問題を取り上げるのは、「血圧の薬を飲んでフラフラしたり、調子が悪くなったりしたら薬を飲むのはやめてかまわない」というようなことを原稿に書くと、必ずといっていいくらい、編集者に「お医者さんと相談してからやめるようにしましょう」みたいに書き直されてムッとするからです。
まあ確かに医者に相談なしにやめるよりは、「先生、この薬を飲んだら調子が悪くなったんですけど」という話をしてからにしたほうがいいんでしょうが、でもね、医師によっては「そうは言っても、薬のおかげで血圧が正常になっているんだから」とか「ちゃんと効いているんだから」とか言ってやめさせてくれないことがけっこうあるんですよ。
私はほとんどの医者がそうしているのだと思っています。だから患者さんも不安になるんだと思う。
確かに、インスリンがほとんど出なくなる1型糖尿病のような病気だと、インスリンをやめてしまったら、血糖値が800くらいまですごい勢いで上がって、最終的に目が見えなくなってしまう恐れもある。勝手に薬をやめてはいけない、そういう病気もあるんです。
でも、2型糖尿病のように、インスリンはちゃんと出ていてもレセプター(インスリン受容体)がおかしくなっている病気の薬とか、コレステロールがちょっと高いのを下げる薬とか、前に脳梗塞をやっているから血をサラサラにする薬を飲んでいるとか、そういった場合は薬をやめてもあまり影響はないんです。もしも調子が悪くなったらまた飲み始めればいいんです。