墓石撤去費用払わず管理費滞納のまま放置する檀家

墓地管理費の滞納が続くと、墓地管理者である住職が督促をすることになる。それでも3年以上の滞納が続いた場合、墓地使用者に契約解除の通知を実施。墓地区画に立札を設置して、1年間ほど掲示するとともに、官報にも同様の公告を行う。それでも申し出がなかった場合は、行政手続きを経て、撤去が可能になる。

管理費が滞ったまま、行方知れずになるケースは霊園管理者にとって頭の痛い問題
撮影=鵜飼秀徳
管理費が滞ったまま、行方知れずになるケースは霊園管理者にとって頭の痛い問題
鵜飼秀徳『絶滅する「墓」:日本の知られざる弔い』(NHK出版新書)
鵜飼秀徳『絶滅する「墓」:日本の知られざる弔い』(NHK出版新書)

こうした手続きの煩雑さに加え、墓石の撤去・処分となれば数十万円の出費がかかる。斜面など立地が悪く、区画の規模が大きい場合は100万円を超えることもある。

墓石が放置され、あるいは、管理費の滞納が増えていくと、墓地管理の秩序が崩壊し、連鎖的に同様のケースが増えていく。時間をかけて寺の経営が圧迫され、最終的には寺院が護持できずに、空き寺になってしまう。悪質なケースに困惑する寺が、墓石撤去料を請求するのは当然のことだ。

寺院の墓地規定にあらかじめ、離檀の際に墓石撤去料を記載していることもある。しかし、それが「離檀料」として曲解され、ネットなどで非難を浴びてしまうこともしばしば、起きている。菩提寺も檀家も、最低限の倫理性が求められることはいうまでもない。

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