イギリスを拠点とする素性不明のアーティスト「バンクシー」はなぜ人気なのか。現代美術作家のパピヨン本田さんは「作品の高いクオリティとそこに込められた社会批判のメッセージを多くの人が支持したからだ。彼はアーティストでありつつ、社会を変えようと活動するアクティビストといえる」という――。
※本稿は、パピヨン本田『常識やぶりの天才たちが作った美術道』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
なぜバンクシーの作品は有名になったのか
世界中にスプレーでグラフィティ(落書き)・アートを描く、正体不明の美術家がバンクシー! 彼は紛争地帯や社会問題の渦中にある場所に赴いて作品を描きます。
彼の作品に込められたメッセージはわかりやすく、作風はキャッチーでアイコニックだったので、見つけた人たちが写真を撮ってSNSに投稿し、彼のメッセージはさらに世界中に広がっていきます。
「おかしいのは社会か? 作家か?」
ここでは、美術の力で社会を変えようとしたバンクシーという作家をご紹介します。
現代美術は近年になるにつれ、美術を用いたあらゆる方法で、直接的な社会へのアプローチを試み始めるようになりました。
美術は、戦争・貧困・教育・人権・自然保護など、社会的なメッセージとの結び付きを強めていくのです。
作家たちは時に街を荒らし、見る人を驚かせ、あらゆる方法で世の注目を集めながら社会の是非を問いました。「おかしいのは社会か? 作家か?」これを読んでいるあなたも、ぜひ考えてみてください。