2014年の「タクシー減車法」が自由競争にブレーキをかけた

ウーバーが日本に進出した2014年は日本のタクシーにとって大きな変化が起きた年だった。競争が激化したという話ではない。むしろ自由競争にブレーキをかける決断をした年だった。

2014年1月27日、「タクシー『サービス向上』『安心利用』推進法」と国土交通省が呼ぶ法律が施行されたのだ。正式には「特定地域における一般乗用旅客自動車運送事業の適正化及び活性化に関する特別措置法等の一部を改正する法律」という名前だが、新聞などでは「タクシー減車法」と報じられてきた法律である。

タクシー規制については、「小泉構造改革」の一環として2002年に施行された改正道路運送法で、参入規制や台数制限が撤廃された。新規参入は許可制だったが、既存のタクシー会社による増車については届け出だけで可能にした。また、料金についても自由化された。

東京の繫華街で列を作るタクシー
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この規制緩和の結果、利用客の多い大都市圏を中心に新規参入や増車の動きが一気に広がり、台数が大幅に増えたのである。また、初乗り500円のワンコイン・タクシーなども誕生、価格競争も起きた。競争が激しくなったことで、タクシー1台当たりの売り上げは減少、タクシー運転手の賃金は歩合制が多いため、賃金減少に結び付いたとされた。タクシー業界は猛烈に反発。「行き過ぎた規制緩和」がタクシー運転手の生活を壊した、というキャンペーンを張った。

自由競争の排除で構造不況業種になってしまった

2014年の法改正では、国土交通相が「特定地域」に指定した過当競争地域では、事業者や首長らで構成する「協議会」で決めれば、タクシー営業台数を削減させたり、新規参入や増車を禁止したりできるようになった。また、タクシー会社は国が定めた範囲内で料金を決めなければならなくなった。下限を下回る料金に対しては国が変更命令を出せるようになったのである。

ライドシェア解禁どころか、タクシーの数を減らしたのである。タクシーの台数を減らして競争をやめれば、乗務員の待遇が改善され、消費者にとってもサービス向上になるというのが、当時のタクシー業界やその意向を受けた国交省、政治家の意見だった。

それから10年。サービスの向上どころか、サービスを提供できないタクシー業界に成り下がっている。これはどういうことか。

自由な競争を排除したことで新たなビジネスチャンスを求める新規参入業者も減った。競争によって切磋琢磨せっさたくますれば、新しいビジネスアイデアが生まれてくるというのは、小泉改革時代の10年でも明らかだった。価格を下げようとする業者がある一方で、新たなサービスで新規参入しようという試みもあった。その芽をつんだことがタクシー業界全体にとってプラスになったとは思えない。逆に魅力のない業界になり若者が働こうとなかなか思わない構造不況業種になってしまったのではないか。