おみくじに似た「プチギャンブル性」

「何が出てくるかわからない」を貴ぶ文化性

ガチャガチャの最大の特徴は「何が出てくるかわからない」という点にあります。商品の高品質や多様化も見逃せませんが、このことが娯楽の多様化が進んだ現代に至ってもガチャガチャが独立した地位を保っているファクターだと私は考えます。

コインをマシーンに投入する。「あのアイテムが出ますように」と心の中でお祈りしながらハンドルを回す。ガランと出てきたカプセルの中身を大急ぎで確認する。アタリであれば心の中で「バンザイ」、ハズレであればもう一度トライするかどうか考える。専門店に行くと、最近は人の目を憚らずにハンドルを回す際に神様にお祈りするようなポーズをとる方もいて、思わず微笑ましくなります。

家族や友達と一緒であれば、頭の中で考えずに、老いも若きもその場でテンション高く盛り上がることができます。現在50歳以上の人であれば、誰でも子どものときにガチャガチャをやった経験があるので、久しぶりに童心に帰って何が出てくるかで盛り上がることができます。

おそらくこの「何が出てくるかわからない」というガチャガチャの本質は、日本古来のおみくじ文化につながるものがあるかもしれません。神社やお寺のおみくじも吉凶を占うために気軽に行います。大吉が出れば歓喜し、大凶が出れば落胆する。これは一種のプチギャンブルであり、日本人のDNAに刻み込まれたものなのかもしれません。

おそらくこの先、お金の支払方法はコインからキャッシュレスの時代に進んでいくのでしょうが、この「何が出てくるかわからない」というポイントは変わらないと思います。

毎月400シリーズもの新商品が登場

品ぞろえが豊富

現在、毎月リリースされるガチャガチャの新商品は約300~400シリーズと言われていますが、2020年の時点では約200シリーズ程度にすぎませんでした。この数年間に急激に増えた種類の豊富さも現在のガチャガチャ市場の盛り上がりを体現しています。

商品も従来のキャラクターもののフィギュアや現実に存在するもののミニチュアに加え、実用性のある雑貨、後述する「ネタ系」と呼ばれる不思議グッズなど実に多彩になっています(図表3)。それぞれにファンがついています。

ガチャガチャの商品は、玩具カテゴリーから雑貨カテゴリーまで、広いジャンルで商品化されていることで拡大しています。