「何ももらえない」ということがない
低価格で買いやすい
現在のガチャガチャの中心価格帯は300円です。各業界で物価が全体的に高騰している中にあって、かなり優等生であると言えるでしょう。
同じように子どもたちや若者に人気のあるクレーンゲームも、1回につき100円や200円で楽しめるようになっていますが、目当てのものをゲットするまでに1000円くらいは使ってしまうことが普通です。
その点、ガチャガチャは目当てのものかどうかはともかく、最初から何ももらえないということはないので、クレーンゲームよりも魅力的に思う人も多いと思います。
機械を回す楽しさ
「何が出てくるかわからないドキドキ感」とも共通しますが、自分で実際に手を動かして目当てのものをゲットする楽しさというのは、モノがあふれた現代にあってはまさに「コト消費」であると言えます。
このようなガチャガチャの特性は、マーケティング手段として色々と応用ができるものだと思います。たとえば、ファミリーレストランチェーンの「ガスト」では、セットメニューを頼んだ子どもに専用コインを渡し、オリジナルグッズをもらえるガチャガチャを楽しめるようにしています。
それをさらに拡大させたのが回転寿司チェーンの「くら寿司」です。注文したお皿5枚に対してゲームを1回楽しめるようにし、アタリが出たら「ビッくらポン!」という自社オリジナルのガチャガチャから景品が出るようになっています。どちらも子どもたちは大喜びで、次回も「ガスト」や「くら寿司」に行きたいと親にねだらせるために集客ツールとしてガチャガチャを活用しています。
ガチャガチャは「子供向け」だけではない
子どもの集客だけではありません。LCC(格安航空会社)のピーチ・アビエーションは、大人向けに2021年からガチャガチャの仕組みを利用した「旅くじ」というキャンペーンを実施しています。
これは1回5000円で「旅くじ」をガチャガチャで購入すると(決済はPayPay)、出てきたカプセルの中には行き先とそこで遂行するミッションが書かれたくじと、指定された行き先への往復航空チケット(ピーチ限定)の購入に使える6000円以上のクーポンが入っています。購入者が指定された目的地への航空券を購入する際にそのクーポンを使用すると、その金額分が割り引かれるという仕組みです。「旅行先の決定をガチャガチャに委ねる」というワクワク感が好評で、現在も行われています。
現在、各地域で行われている町おこしにも、集客手段としてガチャガチャを活用しているケースが多く見られます。「何が出るかわからない」「自分でハンドルを回す」というプチエンターテインメント性は、イベントを盛り上げるのに格好の要素なのです。
ガチャガチャの仕組みを利用して、寄付金を募るという活動も各地で出てきています。
たとえば、地震や大雨などによる災害で甚大な被害を受けた地域では、公民館やショッピングモール、遊園地などにガチャガチャのマシーンを設置して、売上の一部を被災地に寄付するということがよく行われています。
日本には寄付文化がないとよく言われていますが、ガチャガチャを楽しむと寄附にも貢献できるということで、ハードルを下げる効果があります。これもまたガチャガチャの活用事例と言えるでしょう。