若々しい脳を保つには、没頭できる趣味をもつことが効果的です。若い頃から好きだった釣りや読書、映画鑑賞などを、定年後にあらためてじっくり堪能することも方法の一つ。
ただし、すでに認知症グレーゾーンが始まっている人がUターンするには、この校長先生のように、もっとスペシャルな趣味に挑戦したほうが効果的です。
「スペシャルな趣味と言われても……」という方は、図表2のリストを参考にしてみてください。ピピッとときめいたものがあれば、挑戦してみてもよいですね。
娘と同じ大学に合格したMさん
専業主婦のMさん(54歳・女性)もそんな一人。Mさんは、娘さんが大学受験に向けて必死で勉強している姿を見て、自分も一緒に努力したいと考え、なんと同じ大学を受験することにしました。
当時52歳だったMさんにとって、参考書を片手に勉強をするのは30年以上ぶりのこと。それでも、あらためて教科書や参考書を読んでみると、学生時代は嫌いだった科目も含め、意外なほどおもしろく、毎日夢中で勉強したそうです。その結果、見事に親子で現役合格。地域の新聞にも取り上げられ、Mさんの人生はそこから一変したのです。
こうした方は、生涯、認知症と無縁で暮らしていけると思います。もちろんMさんのようなケースはまれですが、会社を退職したり、子どもが自立したりしたタイミングで、「新しい学びを始めました」という声を最近よく耳にします。
楽しいと思える大人の学びを持つ
もっと気軽に、自分の好きな趣味の延長線上で、資格試験にチャレンジしてみるのもいいでしょう。認知症グレーゾーンが始まっている人は、勉強を始めても「めんどうくさい脳」が邪魔をし、途中で挫折しがちです。そうしたときは、勉強するモチベーションを上げる「プラスの楽しみ」を見つけるようにします。
たとえば、講師で決めるというのもその一つ。教え方の上手な有名講師のいるセミナーへ通うのもよい方法ですし、イケメン講師、美人教師が目当てでもいい。「勉強するのはめんどうだけど、あの先生に会えるなら行ってみようか」と思えれば、しめたものです。
もっというと、「あの先生に会いたいから、この資格試験を受けてみよう」でも構いません。興味のない分野でも、自分の好きな先生の授業を受けているうちにおもしろさに気づくことは、学生時代でもよくあることです。結果として、いつもと違う脳を使うことになり、脳をバランスよく活性化するうえで効果的です。
ただし、「認知症になりたくないから」という理由で、やりたくもない学びを嫌々続けても成果にはつながりません。大人の学びは、あなたが「楽しい」と思えるかどうか、それが最も大事です。