公立校教員の退職金は大企業並みの2417万円

目立つのは2000年の164万人から2022年の120万人への27%を超す大幅減である。

では、この2年の小学校教員採用試験の希望者数はどうか。下記の通りだ。

2000年 4万6156人
2022年 4万636人

新成人の総数自体はマイナス44万人であり、20年で3割近くも減っている。これに対して、小学校教員採用試験の受験者総数はマイナス約5500人で1割弱しか減っていない。

つまり母数である新成人全体に対して占める割合で言うと、元の2.8%程度から3.3%程度への上昇である。つまり、新成人の人口に対する割合で考えれば、以前に比べて「小学校教員の人気が落ちている」という分析は正しくない。

以上のような客観的な事実はもっと世間に大いにアピールしていいところである。倍率が下がったから小学校教員が不人気になったという単純な話ではない。単に労働人口総数に対しての、募集人数の割合が大きすぎるだけなのである。

笑顔で学校の廊下を歩く教師と生徒
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現在の学校は、以前にも増して人手がかかるようになった。

まず、特別な支援を必要とする子どもへの対応などにより、支援員の増配置や特別支援学級数の増加ということに対応している。少人数指導の必要性も叫ばれる中、算数のTT(ティームティーチング)などの定数増員もある。つまり、以前よりも子どもの人数は減ったが、1校あたりに最低限必要な職員の数はどんどん増えているのである。

さらにいえば、団塊世代の一斉退職により人員にぽっかり穴があいてしまい、そこへの補塡ほてんも急務である。

繰り返しになるが、人気がなくなったという単純な問題ではなく、単に急にたくさんの教職員が必要な状況に陥り、慢性的に大量採用に至っているというのが実情である。

採用試験の受験者人数を見れば、現状でもかなり多くの人が希望してくれているともいえる。厚生労働省によれば、小・中学校教員の平均年収は約698万円で、2021年における民間の給与所得者の平均年収443万円よりも多い。また、公立校教員の定年退職金は大企業並みの2417万円で、中小企業平均の約2倍。もちろんお金に関しては上を見ればキリがないが、確かに安定した職業であり、多くの優秀な学生の進路先の選択肢になっている。

※出典
厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag」小学校教員
厚生労働省 職業情報提供サイト「job tag」中学校教員
総務省「令和3年 地方公務員給与の実態

問題は、文科省や自治体も含めた募集する側が、世間に対して「足りない」アピールが強すぎて、教員不人気というイメージキャンペーンに余計な拍車をかけていることである。

この点で、日本中で最も働き手を必要とする上に職業選択の幅の最も広い東京都においては、今年度ついに小学校教員採用試験で1.1倍という超低倍率を叩き出してしまった。情報に最も敏感で、若者の数の増減の影響を直に受ける大都市ならではの現象である。キャンペーンの影響が悪い方向で直撃しているように思われる。

個人的な思いを言えば、「今こそ教員を目指すチャンス」である。はっきり言って、このご時世で「将来なくならない」と確定されている上に、身分と給与が約束されていて、人を育てるという大きなやり甲斐もあり、必要とされている仕事というのはかなり希少だ。

教員が「足りない」のは事実だが、とにかく「不人気」は強く否定したい。確かに倍率が落ちてはいるがこれも構造上避けがたいことであり、「不人気」とは直結しないのである。