糖尿病予備軍を早めに見つけ出す工夫
例えば糖尿病の検査では、HbA1c(ヘモグロビンエーワンシー)をチェックすることをご存じの方も多いでしょう。これはブドウ糖がたんぱく質とくっつく性質を利用して行う検査です。血液中のたんぱく質でできているヘモグロビンが糖とくっついている割合を見るもので、過去1~3カ月の血糖値を反映しています。
メタボ健診ではHbA1cが5.6%未満だと正常とされていますが、その基準値を超えていればただちに糖尿病というわけではありません。血液中のブドウ糖を処理して、血糖値を正常に戻す力(耐糖能)が落ちてきているか、追いついていないということであって、まだ糖尿病とは断定できません。
糖尿病の疑いありとされるのは6.5%以上です。つまり、メタボ健診では基準値を5.6%とあえて低く設定しています。これは、耐糖能が落ちてきている可能性がある人を早い段階で見つけ出して、生活習慣を見直して耐糖能を改善させ、本当に糖尿病になるのを防ごうという意図があるわけです。
中性脂肪より尿たんぱくが悪いほうがずっと深刻
一般的な健康診断の結果表では、すべての項目がずらっと並んでいるだけで、「重みづけ」がなされていません。しかし実際のところは、例えば「中性脂肪」の値が悪い場合よりも、「尿たんぱく」に問題があるほうがずっと深刻です。
中性脂肪は30~149mg/dLの範囲が正常とされています。ところが、中性脂肪の数値は運動量や食事量で簡単に変動するもの。身体活動による消費エネルギーが増えるか、食事からの摂取エネルギーが減れば、中性脂肪の値はほとんどの場合すぐに低下します。
逆に、焼肉の食べ放題などに行った翌日は、高くなることがあります。
長期間にわたって中性脂肪が高い状態が続くと、動脈硬化を進めるリスクになるため注意すべきなのですが、中性脂肪だけが基準値をわずかに超えていたからといって、それだけで即、致命的な状態だということではありません。