故ジャニー喜多川氏の性加害を受け、ジャニーズ事務所が再発防止策や今後の会社運営について発表した。経営コンサルタントの石原尚幸さんは「社長交代や社名変更といった安易な対策は真の問題点から目を背けており、決してやってはいけない。腐った組織を再生するには、経営陣は総退陣し、外部から経営者を招聘するべきだ」という――。

「ジャニーズ」の看板を下ろしても変わらない

ジャニー喜多川氏の性加害を受け、ジャニーズ事務所は10月2日、記者会見を開き、

・被害者への謝罪(補償を含む)
・ジャニーズ事務所の社名変更(SMILE-UP.)
・タレントマネジメントを行う新会社の設立

といった対策を発表した。

ジャニーズ事務所の社名変更を発表した東山紀之氏ら
撮影=阿部岳人
ジャニーズ事務所の社名変更を発表した東山紀之氏ら

しかし、単なる謝罪、社長交代、社名変更では今回の問題解決にはならないと断言する。

なぜか? その理由は、真の問題点を特定していないまま、対策ジャンプをしているからだ。

筆者は幾多の組織に乗り込み、組織を改革させることを生業としている。その中には「変われる組織」と「変われない組織」がある。その違いは、「真の問題点」から逃げずに特定しているか否かである。

部下が転ばないために、あなたはどうするか

こんな事例で考えてみよう。あなたの後ろを歩いていた部下が転んだとする。さて、あなたはこの部下に何と声をかけるだろうか?

ある上司は部下にこう声をかけた。

「おい、大丈夫か。気を付けて歩けよ!」

何気ないこのやりとりだが、この会話の中に、問題を解決できない組織が犯してしまう重大なミスが隠れている。

さて、考えてみてほしい。この部下はちゃんと前を見て歩けば再び転ぶことはないだろうか? はたまた別の誰かが通った時に、転ぶリスクはないだろうか?

私はあると予想する。なぜなら、転んだ理由が転んだ部下の不注意ではなく、ほかにある可能性があるからだ。