宗教からの脱却がなければC-C-B結成はなかった

関口さんにとって、宗教とは違う価値観や世界観との出会いが、結果として、C-C-Bとの出会いももたらしてくれた。

「もし信者のままだったら、芸能界にも入れなかったと思いますね。教団の中で一般の世界のことを『世俗』と言うんですけれども、その最たるものが芸能界という位置づけでした。テレビを見ることも許されなかったので、『ドリフ』とか僕全然知らないんですよ。それで仲間外れにされたりもしました」

「あるレコード会社の社員の人が、僕がアルバイトしている原宿のカフェバー『ゼスト』によく来ていたんですよ。名刺もらったんで、これはチャンスだと思って。『僕も音楽をやっているんですよ』っていう話をしたら、彼が『アルバムを出すことは決定しているんだけど、メンバーをあちこちからチョイスしているというプロジェクトが進行している。興味があるんだったらちょっと会ってみないか』と言われて会ったのが、ベースを弾いていた渡辺(英樹)くんでした。その次にドラムの笠(浩二)くんと会って、最初3人でココナッツボーイズ(C-C-B)というグループを作ったんです。それが21か22歳くらいの頃ですね。渡辺くんも笠くんも亡くなっちゃいましたけど」

関口誠人さん
撮影=門間新弥
関口誠人さん

「宗教2世」だったからこその良い面もある

関口さんがエホバの証人から距離を置いてから44年がたった。しかしまだ、完全に宗教を克服できたとは言い切れない。

今でも幼少期に植え付けられた恐怖が襲ってくることもある。昼寝中、カーテンが揺れるだけでうなされるのは「母親への畏怖の念」が残っているからだという。

今、関口さんは「宗教2世」だからこその良い面に向き合うことを始めている。

「今でも夢にうなされることもありますけど、あまり、ネガティブに捉えないようにはしています。実際、ポジティブな側面もあったんです。エホバでは、『ものみの塔』『目覚めよ!』という雑誌と冊子がありまして、それを1冊120円だか150円で売るんですよ。子供でもそれをやらされる。ネクタイ締めて、ピンポンするんです。『聖書の研究をしている者なんですけども、こういう良いニュースがありまして、あなたもぜひ読んでみませんか』みたいな決まり文句があるんです。これって相当な度胸が、勇気が必要なんですよ。かなり鍛えられました。人とのやりとりとか、人と話すこととか、メンタルが。『うちは仏教だ!』と怒鳴られたりとか。一番多いパターンは、キョトンとされるんですよ。なんなのこの子は、何を言っているのかわからない、みたいな。たぶんMCにも生かされていますね(笑)」