カタツムリは殻を取るとどうなるのか。沖縄大学の盛口満教授は「殻の中には内臓が詰まっており、カタツムリは死んでしまう。『ナメクジになる』と誤解している人は多いが、全く別の生き物だ」という――。
※本稿は、盛口満『マイマイは美味いのか』(岩波書店)の一部を再編集したものです。
カタツムリは虫なのか
私は現在、大学で小学校教員養成課程を軸とする学科に所属している。その関係で、小学校に出張授業に出かけることがある。その授業の中で、小学生のカタツムリに対しての認識の一端を知る機会があったので紹介することにしよう。
小学校3年生の理科の単元の一つに、「こんちゅう」の学習がある。その単元に関する授業を頼まれたら、まずクラスの子どもたちに「好きな虫」「キライな虫」を教えてもらっている。子どもたちが「虫」というものに、どんなイメージをもっているかをさぐるためである。いくつかの小学校での「キライな虫」の回答例を取り上げて、図表1にしてみた。
ゴキブリのようにどのクラスでも名前があがる定番の虫もいるが、それ以外にも、実にさまざまな「虫」の名があがっている。授業ではこのやりとりから「虫にもいろいろいるけれど、虫にはどんなグループがあるかを考えていこう」……つまり、昆虫と、昆虫以外の生き物をきちんと分けてみようという内容に進むのだけれど、ここで注目したいのは、小学生の子どもたちにとって、ナメクジやカタツムリは、しばしば「虫」というくくりとして認識されているという点だ。
カタツムリは「虫」だろうか。