もともとは、本嫌いの妻でも読める本を書きたかった

羽田空港から沖縄に向かう飛行機は、毎日違う方向に飛びます。沖縄の位置は同じはずなのに。

毎日違う方向に飛び立つのは、日によって風向きが違うから。そして、逆風に向かって進んだほうが、効率よく空高く舞い上がれるからです。

ご覧のように逆風は空高く舞い上がるチャンスなのです!

そして「逆風」は、振り返れば「追い風」。

僕の場合、妻はどんな「追い風」だったか?

僕の本は、「本を読まない人にも読みやすい」とよく褒められます。それは、僕がずっと、本を読まない人も読めるように意識して文章力を磨いてきたからです。

なんでそう意識することになったのか? 改めて考えたら、僕の無意識の想定読者が「妻」だったことに気づいたんです。本嫌いの妻でも読める本を書けるようになりたいと文章力を磨いてきたからこそ、ベストセラーを何冊も出せたんです。

そもそも、妻とうまくいく方法はないかと心理学を学び始めたのがきっかけで、本を45冊も書けるまでに成長してしまいました(笑)。

「作家・ひすいこたろう」を作ってくれたのは、価値観がまったく合わず、僕の本をまったく読まない妻だったんです。

アパートの自宅のオフィスの窓にコンピュータを持つ職場デスク
写真=iStock.com/evgenyatamanenko
※写真はイメージです

「このままでいい」と思えたら、妻も変わり始めた

妻は、このままでいい。妻への僕の心のあり方が変わり、心から感謝できるようになりました。

すると、なぜか妻が変わり始めたのです。

僕が妻を変えようとしなくなったので、妻もストレスから解放されたのかもしれません。とにかく2人の間に笑顔が生じるようになったのです。結婚21年目にして、毎月、一緒に映画を観にいくような仲になりました。

ここで恋の真実を明かしましょう。

「恋はするものではなく、落ちるもの」

これは、作家の江國香織さんの言葉ですが、まさに、恋の真実を示しています。恋は頭でするものではなく、「恋に落ちる」と言うように、勝手に引き合うものです。そう、引き合うのです。理科でやった磁石の実験のように!

磁石の「N極」と引き合うのは、真逆な「S極」。つまり、真逆な人ほど、引き合わされるのです!

実は、僕は妻を受け入れられて以来、苦手だなと思う人はいても、「嫌いだ」と思う人が1人も現れていないんです。一番価値観が遠い妻を受け入れられたら、あとは、かわいいものだからです(笑)。