注意書きのポップも効果がなかった

だから、私たちは炎天下、炭酸飲料用ペットボトルかそうでないかを識別し、炭酸飲料のペットボトルならおっかなびっくり飲み口を誰もいない方向へ向け、顔をそむけてそろそろと空気を抜きながら外す。こうなると1本につき5〜10倍の時間と手間がかかる。

それだけ気をつかっても、かすかに空気が漏れるか漏れないかの段階でバシュッ‼ とキャップは飛び出していく。手間なだけではなく、危険なのだ。対策として、ペットボトル用のゴミ箱の真横に専用のキャップ回収ボックスを設置した。

専用仕様にはないため、ホームセンターを探し回って購入してきたものだ。さらにゴミ箱の投入口に、私の手描きの絵とともに「キャップは外して捨てましょう」という注意書きポップを貼った。だが、効果はなかった。今もほとんどのペットボトルがキャップを外さぬまま放り込まれている。

ペットボトルを飲み切って、ゴミをまとめる気持ちでフタをする心理はわからなくもない。でもそのひと手間によって、こちらは手間ばかりではなく、身が危険にさらされている。ペットボトルを飲み終えたあとのひと手間は不要です。どうぞ、フタをせず、そのまま捨ててください。

ペットボトルをごみ箱に入れる人
写真=iStock.com/nopponpat
※写真はイメージです

店に押し寄せる虫の大群

夏の苦労といえば、梅雨入り前後から始まる小虫たちの侵攻がある。郊外のロードサイド店であるわが店には、まずはユスリカの大群(*2)が押し寄せてくる。夜、扉が開くと、お客の頭上に数百匹のユスリカが蚊柱を作って攻め込んでくる。

これがまたハタ迷惑なところで死んでくれるのだ。デザートケースの可愛いスイーツの上、総菜ケースの細かい溝の中、ドリンク剤の棚の奥、弁当の棚、アイスクリームケース……。毎日毎日、通常業務の合間に隙をみてはハタキをかけ、掃除機で吸い、ホウキで掃く。これだけで仕事量は倍増する。さまざまな対策は試した。電撃殺虫器(*3)、大型扇風機(*4)、蚊取り線香、虫寄らずの薬剤(*5)……。でも、どれもほとんど効果はない。

(*2)ユスリカの大群 蚊柱を作るのはオスだけで、メスとカップルになれなかったものたちが「玉砕地」として店内へ入り込むらしい。そう考えると憎いはずの彼らが哀れにも思えてくる。
(*3)電撃殺虫器 虫を呼び寄せ、バチバチ焼き殺す。黒焦げの死骸がその下にいっぱい落ちている。
(*4)大型扇風機 店の入り口に設置し、入って来ようとする虫を吹き飛ばす。ただ、来店のお客の髪までも小虫を絡めて吹き上げてしまう欠陥がある。
(*5)虫寄らずの薬剤 入り口にぶら下げてみたが、まったく効果は感じられなかった。一応しばらくのあいだそのままにしていたが、「魔除けのお札」程度の認識だった。出入り口が大きくて広く、煌々と明かりが灯っている店舗の場合であって、一般家庭での効果はわからない。