これまでにも対策は施されてきたが、効果は限定的だ。2001年には魔女狩りを抑止すべく、州議会が魔女行為防止法を可決した。魔女と認定することや、魔女であることを理由として精神的・肉体的に拷問を加えたものに対し、罰金刑や懲役刑を規定している。
しかし高裁の判事らは、魔女だと吹聴され集団リンチを受ける類いの事件がなおも「極めて頻繁に」報道されていると指摘。州政府の対策は目立った成果を生んでいないとして懸念を表明している。
無実の女性たちを死に追いやる「村の狂気」
インドの一部地域に残る魔女狩りの風習は、部族の不満の矛先を無実の女性や老人たちに公然と向ける、あってはならない制度だ。真に恐れるべきは、いわれもなく「魔女」のレッテルを貼られた女性たちではなく、黒魔術に追随し無実の女性たちを死に追いやる村の狂気だと言えよう。
魔女狩りはまた、後味の悪い結末を残す風習でもある。自分のため親戚が殺されたと知った15歳少年は、一体何を思うだろうか。医療の届かない地域では、病状の改善をオジャに頼らざるを得ず、結果として誰かが犠牲となる悪習が続いている。
意識の変革には時間がかかることが予想される。高裁の動きが結実し、古い因習が徐々にでも改められることを願うばかりだ。