銀行の態度いかんで「生きるか死ぬか」が決まる

こうした状況の中で、利益、そしてキャッシュフローの確保ができるかというのが最大の焦点ですが、業容が大きく落ちている中での利益確保はかなり難しいと考えます。先に説明したように、中古車の買い取りおよびそのオークションへの販売である程度のビジネスはやれると思いますが、これまでのような利益確保は到底望むべくもありません。

また、従業員の給与のかなりの部分は歩合だったらしく、その引き留めのために、今後は給与の補塡ほてんを行うとBMは言っています。辞めた従業員が同社のことを非難することも多く、それを避けたい意味合いもあると考えられますが、これも資金負担がかかります。

ビッグモーター岡崎店(写真=Evelyn-rose/CC-Zero/Wikimedia Commons)
ビッグモーター岡崎店(写真=Evelyn-rose/CC-Zero/Wikimedia Commons

こういう点を考えれば、今後、銀行が融資を継続するかが焦点です。金融庁の保険を担当する部門と銀行を担当する部門はもちろん違いますが、金融庁は各取引行のBMに対する融資姿勢を厳しくチェックする可能性もあります。ただ、銀行としてはビッグモーターが破綻した場合には、十分な担保も取れていないでしょうから大きな損失が出るという問題があります。

こうした状況でBMの命運は取引銀行の融資姿勢にかかっていると言えますが、BMにとっては簡単な話ではないことは容易に想像がつきます。

8月10日にBMは都内で取り引きのある銀行団と会合を開き、8月半ばに期限を迎える借入金90億円の借り換えを要請したものの、銀行団はこれに応じない方針を伝えたとの報道がありました。

これを受けて、「犯罪行為をしたことが濃厚な会社にお金を貸さないでほしい」「反社的企業は救済しない、という判断を下すべき」といった声も上がっています。銀行も難しい選択を迫られています。