行政の役割は県民の生命や財産を守ることではないのか
これは、川勝知事が地下水の流出問題で「サイフォンの原理」を持ち出して、「山梨県の調査ボーリングをやめろ」と唱えたことにそっくりである(その後、「サイフォンの原理」は間違いだと認めた)。
現在でも、川勝知事は「静岡県の水が引っ張られる懸念があるから、山梨県内の調査ボーリングをやめろ」と主張し続けている。
山梨県のリニア工事を妨害する法的根拠を示さないデタラメぶりに長崎幸太郎知事は「企業の正当な活動を行政が恣意的に止めることはできない」などとJR東海の立場を尊重するように静岡県に要請した。
さらに長崎知事は「調査ボーリングが静岡県の大井川下流域に影響を及ぼす場合、その影響の度合いが受忍限度を超えるほど大きなものなっていて、リニアトンネル工事との間で因果関係が科学的に立証できた場合、山梨県の責務としてJR東海へ是正を求める」と行政の立場を明確にした。
行政が企業の正当な活動に何らかの注文を付ける場合、そのような慎重な姿勢となるのは、当たり前のことである。
8月3日の県専門部会後の囲み取材で、筆者は、森貴志副知事に「静岡県の行政の役割は、このような言い掛かりをつけることではなく、県民の生命、財産を守ることはではないのか」とただした。
森副知事は「行政の役割は県民の生命、財産を守るためである」と回答した。
もし、本当にそうならば、この日のムダな議論は何のために行ったのか?
川勝知事のリニア妨害のシナリオに沿って、静岡県が行政としての役割や責任を逸脱し続ければ、静岡県行政への信頼は完全に失われる。