月で食料を生産すれば、危機を乗り越えられる

なぜ私たち人類は、月を目指すのだろうか。

地球に発生する、または発生する可能性が高い問題を回避するためという理由が挙げられるだろう。世界はいま80億人もの人で溢れている。さらに人口増加は加速すると考えられていて、食料不足になる危機も叫ばれている。そのため、月へと移住することで人口を分散させ、月で生産される食料でこの危機を乗り越えるのだ。

ほかにも自然災害の回避のためという理由もありうる。地震、津波、台風、豪雨、土砂崩れ、雪崩などありとあらゆる自然災害があるが、これによる人災や物損を回避できる。

しかし、私はそう簡単な話には思えない。月にも大量の放射線が降り注ぐし、隕石いんせきも大小さまざまなものが高頻度で降り注いでいる。そのため、人類の知的好奇心、新たな発見、新たなビジネスの創造が主な目的と考えている。

日本でも月を目指す企業がある

そんな人類が持つ好奇心を満たすべく果敢に挑戦する企業がある。

一つは、日本企業ispace。ispaceは政府に頼らず、月に経済圏を組成しようとチャレンジしている民間企業だ。2022年12月11日に無事、月面着陸船の打ち上げに成功している。そして、2023年4月26日に月面着陸を試みたが、あと一歩のところだった。これが成功すれば民間企業初となる歴史的偉業になる。

第一段階では、月面着陸の成功を目指すものになっているが、今後の後継ミッションとしては、地球と月の間の輸送サービスに向けた技術検証や、月にあるといわれている水資源の探査、月の詳細情報の収集などを挙げている。この蓄積によって、未来に経済圏を構築するというのだ。

また、日本企業のスーパーゼネコン清水建設を紹介したい。清水建設は、月面のレゴリスなどの資源を利用することでコンクリートを作り、科学実験施設・天体観測所、そしてビジネス、観光の拠点となる月面基地を構想している。