人工衛星の設計に革命が起きる

もちろん、宇宙へアクセスする手段であるロケットなどの輸送機がなくなることはないだろうが、宇宙エレベーターはもう一つのアクセス手段として重宝されるだろう。

宇宙エレベーターは静止軌道へのアクセスだけではない。大林組によると「低軌道衛星投入ゲート」というものが準備されている。大部分の人工衛星が飛行する低軌道という高度数百kmあたりに、そのゲートから衛星を投入することができるのだ。

齊田興哉『空想が実現する時代のビジネス地図』(サンマーク出版)
齊田興哉『空想が実現する時代のビジネス地図』(サンマーク出版)

これにより、人工衛星の設計に革命が起きると考えている。ロケットで衛星などを運ぶ場合、ロケットの振動、音響、衝撃など過酷な機械環境が課される。これに耐えうる設計をしなければならない。しかし、宇宙エレベーターであれば、それは不要になる。

つまり、人工衛星の設計、製造が根本から変わり、多くの部品部材が変更され、試験項目が省かれ、コストや工期が大幅に削減されることが予想されるのだ。

こう考えると、人工衛星は政府や企業が持つものであったが、自家用車を持つように個人が趣味やビジネスなどの目的で保有するような未来になってもそうおかしくないかもしれない。

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