※本稿は、齊田興哉『空想が実現する時代のビジネス地図』(サンマーク出版)の一部を再編集したものです。
アメリカ主導の「アルテミス計画」が進んでいる
月をめぐって加熱する米中競争おおよそ半世紀前、人類は月に降り立っている。皆さんもご存じのアポロ計画だ。残念なことにアポロ計画以降、人類は月を含む地球以外の惑星に降り立っていない。しかし人類は、再び月に向かう計画を始動している。それは、「アルテミス計画」だ。アメリカが主導し、先進国がこのビッグプロジェクトに参加している。もちろん、日本もだ。
アルテミス計画は、宇宙飛行士が生活し、働く場所として、月の地表に「アルテミス・ベースキャンプ」という拠点を築き、ハブ(中継地点)となる月の上空に「ゲートウェイ」という宇宙ステーションを建設する。この計画のためにいくつかのプロセスを経るのだが、まず第1弾として、2022年11月16日、超大型ロケット「SLS」が無人宇宙船「オリオン」とともに打ち上げられた。オリオンは順調に月を周回し、2022年12月12日(日本時間)、計画通り無事地球へと帰還し、最初のプロジェクトは見事成功している。
中国・ロシアが進めるILRS計画
ほかにも、中国も月への計画を進めている。ILRS(International Lunar Research Station:国際月面研究基地)計画といい、ロシアも参加している。中国国家航天局(CNSA)から発表されたILRS Guide for Partnership(現在非公開)には、月面および月の軌道上を活用することで、有人活動、無人活動を含めて月に関する“科学的な”研究を行う計画と定義されている。アルテミス計画同様、ILRS計画も水(氷)が地中に多く存在するとされる月の南極地域を目指すとされている。
実はこれ以外にも、中国がすでに進めている月でのプロジェクトがある。それは、「嫦娥計画」と呼ばれる。月の資源をサンプルリターンする月の裏側で実施されている計画といわれるが、詳細は不明だ。