調査なのか、思考なのか、決断なのか
調査、思考、決断を切り分ける
結論を出すスピードを上げるために、もう1つ意識すべきことが、必要なのは「調査なのか、思考なのか、決断なのか」ということです。
「調査」は世の中で答えが既にわかっているものに対しては効果がありますが、答えが出ていないものに対してはいくら調査をしても結論を出すことができません。
世の中に答えが出ていないことはいくら調べてもムダなので、自分で「思考」する必要があります(逆に世の中に既に明確に答えが出ていることを自分で考えるのは“車輪の再発明”になってしまいムダな労力なので、「調査」すべきです)。
見落としがちなのが、答えが存在しないこともあるということです。これは「決断」するしかありません。例えば、10枚の宝くじから1枚選ぶときにどれが当たるかを考えてもムダです。それは考えているのではなく迷っているだけです。
「どんなことでも10秒考えればわかる」
ビジネスの世界にも考えてもムダなことがよくあります。例えば2つのデザインがあり、どちらかを選ばなければならないような場合に、「どちらが100%売れるか」は、どんなに考えても答えがありません。調査や統計から「60%の確率でAのほうが売れそう」というところまでは考えて出せるかもしれませんが、最後は決断になります。考え尽くした状況で決断できないのは、考えているのではなく、迷っている、悩んでしまっているという状態です。
元ソフトバンク社長室長の三木雄信さんが書いた『孫正義 「リスク」を「成功」に変える28のルール』によると、孫正義さんはソフトバンクの社員によくこんなことを言っていたそうです。
「どんなことでも10秒考えればわかる。10秒考えてもわからない問題は、それ以上考えても無駄だ」
変化対応スピードが競争力を生む環境においては、「考えているつもりで、迷う、悩む」「判断に必要ない、重要性が低い情報を集める」ということに時間を使っていると、どんどん競争力が失われていきます。
「決断のために考えることを決める」「決めたことを考えるために必要な情報を集める」という順番を常に意識するようにしてみてください。