「今日1日を生き延びる」ことだけを考える

だが、エディーとジェイミー両方の日本代表を経験している選手誰もが真顔で言うのは、

「ジェイミーの4年間のほうがキツかった」
「エディーもキツかったけれど、ジェイミーとはキツさの質が全然違う」

エディー・ジャパンを経験していない僕には比較できないが、たしかに初めて日本代表候補として過ごした2019年ワールドカップまでの4年間は、それまでの僕の人生の中でも間違いなく最もタフな4年間だった。

いや、タフなんて生易しいものじゃない。

めちゃくちゃにヤバかった。

どれくらいの厳しさかを言葉で伝えるのはなかなか難しいけれど、人生で心身ともに一番追い込まれたことは間違いない。僕の母校・帝京大学ラグビー部の練習やトレーニングもかなりの厳しさ激しさで知られているけれど、それが「楽だったな」と思えてしまうくらい苛烈を極めた。

そんな中で追い込まれていくと、人間は今日のことしか考えられなくなる。明日のことを考えられなくなる。

「明日は、このトレーニングがある」
「明日は、もっとこうやってみよう」
「明日が終わればオフだ」

そんな先のことを頭に浮かべている余裕やエナジーが、一切なくなるのだ。ただただ「今日一日をどう生き延びるか」だけが頭の中を占めていく。

18時に夕食も、疲れ切って体が受け付けない

それほどまで、ひたすらに体もメンタルも追い込まれ続ける練習は3部制だ。

朝8時スタートの午前練は、ジムでのフィットネストレーニングとコンタクトプレーを行う。朝イチから“ピンピン”――1対1でオフェンスとディフェンスに分かれて、全力フルスピードでひたすらに真っすぐにコンタクトし合いタックルし合う。これをみっちり1時間。ジムでのトレーニングと合わせて、2時間ほどで午前練は終わる。

14時半からの午後練はチーム練習がメインだ。フォワード、バックス、そしてチーム全体でボールを使ってサインプレーや連動性を高める全体練習。全体練習の最後にフィットネストレーニングで息を上げて、17時に午後練は終了。

午後練が終わると18時から夕食になるのだが、選手はみんな、ほとんど食べられない。食えないのだ。

ここまでの練習で体だけでなく内臓まで疲れ切っているので、固形物を体が受け付けない。時間をかけてゆっくり味わえば食べられるのだが、19時から夜練がスタートするので、のんびり食べている時間もない。