達成した経験が「戦場」で重視される
ビジネスの現場は常に戦場である。中国あたりでビジネスをしていたら、それこそ毎日が戦場のようなもので、どこから弾が飛んでくるかわからない。圧倒的な破壊力を持つゴジラ企業が練り歩いている「見えない大陸」での生存競争はさらに情け容赦ない。そもそも情けを乞う時間的余裕もなければ、乞うべき相手も見えないのだ。
企業は想定外の事態に即応できるような仕掛けを常に講じなければならないし、変化をつくり出せる人材、変化に適応できる人材、ひとたび実施過程に入れば最後まで貫徹する勇気と実行力を持った人材を集めなければならない。学歴や職位よりもトラック・レコード(何かを達成した経験)が重視される時代なのだ。
グローバル企業においては、もはや資金力や技術力ではなく、“余人をもって代え難い”人材をどれだけ調達できるかの競争になっている。
事実、前述のGEは、将来のトップ候補生を世界中から採っている。1000人ほどの候補を人事部がずっと観察し続け、最終的に約200人(2010年の実数は189人といわれている)に絞り込む。その全員と、毎週金曜日にイメルト氏が一対一でディナーを食べるという。
イメルト氏はこのディナー中、様々な質問を投げかけて、その答えを聞きながら、目の前の人物がGEの重要事業を任せるに相応しいかどうか、自分の後継者に相応しいかどうかを見極めるのだ。このように、ボーダレス、サイバー、マルチプルの時代には、人材こそが究極の武器になるのである。