第1弾は「愛人との二重生活」から始まった
昨今の凡百のミステリーをはるかに凌ぐ週刊文春の「木原誠二官房副長官の妻に重大疑惑」報道だが、テレビはもちろんのこと新聞もほとんど報道しない。多くの人は知らないだろうが、実にもったいないと思う。
新聞は事件化していないから書けないのだろうが、本音のところでは、岸田文雄首相の懐刀である木原氏の“権力”に脅えているからだろう。
週刊誌報道の基本は、事件化していない噂の段階から掘り起こして「真実」に迫っていくというものだ。テレビや新聞ができないことをやる、それが週刊誌である。
文春は今回の調査報道を複数号にわたって掲載している。知らない人のために、私が順を追って、文春がこの“疑惑”をどのように報じてきたのか、要点を紹介してみたい。
文春(6月22日号)の第1弾は、木原氏には愛人と子どもがいて二重生活を送っているというものだった。
今年の3月、愛人の子どもの誕生日に東京ディズニーランドへ行き、その後、愛人たちとホテルで食事をして、3人はそのホテルに泊まったという。
次の日は朝早くからディズニーシーに行って、午前10時半過ぎに母子を残して、木原氏は官邸に“出社”したそうだ。
愛人は元銀座のホステスで、47歳。シングルマザーで仕事はしていないという。
本妻の元夫が「謎の死を遂げていた」
彼女の住んでいるマンションは推定で月の家賃が30万円。車もアウディからベンツに乗り替え、海外へもよく出かけ、ファッションも一流好みだという。
当初、自分の子どもではないと主張していた木原氏だったが、その後、「自分の子どもだが認知はしていない」ことを認めた。
以前に週刊新潮(2021年12月23日号)でも報じられたから、本妻はよほど心の広い人か、不仲で家庭内別居中なのだろうか。
木原の代理人弁護士は文春に対して、愛人の自宅やディズニーランドに行く時には、「都度妻の了承を得てのことであって、なんら不適切なことはありません」と答えている。
大物政治家にはあってはならない異次元の私生活だが、それを許している“本妻”とはどんな女性なのだろう。そうした関心を持つのは週刊誌屋としては当然である。
謎の本妻とは何者なのか? 元銀座のホステスということは愛人の証言で分かっている。
だが、取材を進めると、彼女は以前にも結婚していて、しかもその夫は「謎の死を遂げていた」ことが分かってきたのである。
警察は当初、覚醒剤乱用による自殺として処理しようとしたが、父親がいくつかの疑問点を提起したため「不審死」扱いになっていた。欧米ではコールドケース(Cold case)といわれる長期間解決していない未解決事件などのことを指す。しかし、新たな証言や物証などが出てきたら、再び捜査が動き出す可能性のある犯罪案件のことをいう。
文春(7月13日号)から、その経緯をもう少し詳しく見てみよう。