睡眠時間を削る人は、人生の後半を劣化させる

成人の場合、1日7~8時間の睡眠は必要です。私自身、30代から40代にかけて、睡眠時間を削って研究に夢中になったことは人生最大の失敗だと後悔しています。

寝ているのがもったいない!とアクティブに活動している人がいれば、ベッドでスマホを見続けいつも寝不足という人もいるでしょう。いずれの場合も脳にとってはマイナスです。

30~40代にそんな生活を続けていると、人生100年の後半50年を強烈に劣化させます。人間の体に備わったリズムに素直に従う生活を送ってください。

心配事があると眠れなくなる脳科学的理由

「進めているプロジェクトがうまくいくだろうか……」
「今期の目標、達成できるかなぁ」
「子どもの受験、合格できるだろうか」

こうした心配事があると、寝つけなかったり、何度も目が覚めてしまったり、睡眠に問題を抱えがちです。これも、脳の仕組みで説明ができます。

夜彼の問題について考えて不眠症と睡眠障害に苦しんでいるベッドのアジア人男性
写真=iStock.com/yanyong
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解決しない案件があると、頭の中ではそのプロセスが常に進行しています。区切りがついていないため、脳は頑張って、寝ながらでも整理しようとします。そのため、なかなか眠りにつくことができないのです。

また、朝4時頃に「あれ、どうなった!?」と冷や汗をかきながら目が覚めたりすることもあるでしょう。

これは、脳が覚醒に向かっていくときに、ピンポイントで未処理中の案件が頭に浮かぶためで、これもまた生理的な仕組みです。

しかし、そうした日々が続き、睡眠不足になると、本格的なメンタル不調になります。うつ病の人の約80%に睡眠障害があると言いますし、また、睡眠障害の約80%はうつになると言われています。

すでに説明しましたが、脳には寝ている間の深い睡眠時に老廃物を排出し、記憶を定着させるという仕組みがあります。睡眠不足になると、この機能が衰え、昼間の覚醒に影響を及ぼします。

早めに脳の仕組みに応じてリカバーできればいいのですが、慢性化するとうつ状態になってしまうのです。