公務員の「高すぎる」給与
たしかに、公務員は恵まれている。
国家公務員の平均給与は、毎月およそ41万円。民間の正規社員平均給与、約508万円に比べると高くはないものの、60歳から65歳までは現役時の「7割」=月額30万円弱が国家公務員法で保障されている。
さらに、退職金は2000万円を超えるとくれば、「国家公務員の給与が『高すぎる』」との見方も当てはまる(*4)。
ただ、これは国家公務員の話である。
地方公務員は、どうか。
国家公務員の給与を100とした場合の地方公務員の給与水準をしめす「ラスパイレス指数」を見よう。
大阪府のウェブサイトによれば、日本全国の地方公共団体では、この47年間のうちに11.5下がり、大阪府内の市町村では、政令市の大阪市と堺市を除いて、31.0も下がっている(*5)。
昭和50年(1975年)から2022年までには、物価は相当に上がり、国家公務員の給与はそれに伴って上昇してきた。
他方で、地方公務員、それも大阪府内の市町村は、もともとの給与が高かった(昭和50年時点で129.7、と、国家公務員よりも3割ほど上回っていた)とはいえ、ずっと下がり続けている。
他国と比べても「少ない」公務員の数
行政学者の前田健太郎氏が著書『市民を雇わない国家 日本が公務員の少ない国へと至った道』(東京大学出版会、2014年)で、第2次世界大戦までは公務員の数が多かったものの、「政府が公務員の給与水準を抑制する手段を制度的に制約されていた」(*6)と明らかにしている。
公務員の給与水準について人事院が決める「人事院勧告制度」によって、民間部門の賃金水準が上がるにつれて、公務員の人件費が膨らんでいった。その人件費の総額は、大幅には増やせないため、給与を上げる以上、公務員の数を抑える方向に進んだのである。
その結果として、ブロガーの不破雷蔵氏が指摘するとおり、「『小さな政府』状態にある他の国、例えばアメリカ合衆国や韓国、スイスと比べても日本の公務員の数は非常に少ない状態」(*7)にとどまっている。
こんな現状を知ってか知らずか、日本維新の会は、「徹底した行革」を看板政策として掲げる。
「議員は身を切り、行政は無駄を省く」として、「公務員の人員を削減、人事院勧告を見直し、勤務評価の適正化と年功序列制度を排除、官民給与格差を是正し公務員の人件費を削減する」と訴える(*8)。
日本維新の会の政策が正しいとか間違っているとか、そうした議論をしたいわけでは、まったくない。
そうではなく、少なくとも、「公務員の人員を削減」すると訴える政党を支持する人たちが、国政だけでなく、地方自治体の選挙でも広がっているところに着目したい。