「安心安全」を公務員に求める無理
先に挙げた東京財団政策研究所の調査(*9)や、日本維新の会の政策から見えるのは、「公務員の人件費」を少なくすれば良い、減らさなければならない、と考える人たちの多さである。
であれば、「小さな政府」、つまり、国や地方自治体がどんどんサービスを提供しなくなる方向を望んでいるのだろうか。
そうではないのだろう。
冒頭でみた、さいたま市消防局のツイートに明らかなとおり、公務員に清廉潔白さ、というか、我慢を求める傾向は強まりこそすれ、弱まってはいない。正確にいえば、日本社会が公務員に求める水準は高い。
典型的なのが、「マイナカード」をめぐる河野太郎デジタル担当大臣の発言だろう。
「安心安全に利用できる活用サービスをさらに作り出していくことができると思っている」。コンビニエンスストアでのカード活用に向けて協定を結んだ際の、河野大臣の発言である(*10)。
この「安心安全」は、日本では、しばしばセットで使われるものの、マイナカードのような行政サービス、つまり、公務員に求めるのは無理がある。
他言語で日本語の「安心」に対応する言葉
「安心安全」は、日本語以外、例えば英語では、どう表現されるのだろうか。
「safe and secure」が、まず挙げられるだろう。
Secureの語源は、se(ない、欠けた)と、cura(注意、配慮)である。気にしなくても良い状態=放っておいても大丈夫、というところから、「安全」を意味する。
クレジットカードを使うときの「3Dセキュア(本人認証サービス)」のようなかたちで、secure(セキュア)は、あくまでも制度の上で「安全」が保たれている状態を指す。
これに対してSafeは、古期フランス語のsauf(安全な)から来ており、現代でもフランス語では、sain et sauf(健全で安全)=「無事に」を意味する成句として、ふだんの会話で使われる。
他の言語でも、日本語の「安心」と、ぴったり当てはまる言葉を探すのは難しい。