お金に執着する人ほど、いろいろな紙切れを大切に持っている。割引券、優待券、抽選券、ポイントカードなどなど。これらはお金を節約するきっかけにもなる反面、お金を浪費するきっかけでもある。
これらの紙は、売る側の人が販売促進のためにばらまくもの。その券を持っているだけで得するわけではなく、もう1回、あるいはもう何回か続けて買い物をするから得をする(ようにみえる)仕掛けがなされている。
問題は、そんな得をするために起こす消費行動がそもそも必要なことか、という点である。初めて買った靴屋さんで割引券をもらった。次回に5000円以上の買い物をすると、1000円割引きになるという。
しかし、靴など、しょっちゅう買うものではない。次回がいつかも分からないし、たとえ覚えていて来店したとしても、買いたい商品がその店にあるとは限らない。
でも、ゲットした1000円割引の券を使いたくてその店にまた戻ってくる。まるで飼いならされた伝書鳩ではないか。
欲しいものは、欲しいときに、ときめく場所で買う。
それが人間の自然な消費行動だ。小さな優待や割引で、自分の未来の行動まで縛ってしまうのは、もったいない行動ではないだろうか。
買い物でマイレージやポイントを貯めようとすることにも程度がある。何でもかんでもマイレージ至上主義になってしまうと、それもまた操り人形のように思えてきて悲しくなる。私は今まで3000人の「お金の相談」に乗ってきたが、その中でも、損得ばかりで行動する貧乏思考の人は、お金に恵まれていない人が多い。
身近な例で言えば、バーゲンセールで無駄なモノを買ってしまうのも、欲張りの悲しい性であり、何枚ものクレジットカードを持っていたころの昔の私も、そのような行動をとっていた一人でもあったのだが……。