価値が高くなれば円高、価値が低くなれば円安

円高・円安に話を戻しましょう。この用語は、ひと言でいえば「外国のお金に対して、日本円の価値が高いか・低いかを表す言葉」です。価値が高くなれば円高、価値が低くなれば円安ですね。

では、「価値が高い・低い」とはどういうことなのか。

たとえば1ドルの缶詰があったとして、ある日は1ドルが100円だったなら、その缶詰は日本円で100円であるわけです。でも次の日に1ドルが150円になったとしたら、その缶詰は150円になってしまいます。これはつまり「円の価値が下がった=円安」ということ。逆に1ドルが50円になったとしたら、缶詰は50円で購入できます。

つまり、外国のお金と交換するのにたくさんの日本円が必要になると円安、少しの日本円で済むときは円高というわけです。

円高・円安は「前と比べてどうか」で決まる

注意したいのは、円高・円安という言葉は、基本的に「前と比べてどうか」という変化について使われるものであるという点です。一概に「150円だから円安」「50円だから円高」と、金額で決まるものではありません。ですから、1ドル=150円の為替レートが変動した「1ドル=140円になった円高」や、1ドル=100円の為替レートが変動した「1ドル=110円になった円安」も当然起こり得るわけです。

たとえば今年の6月には、5月に130円台だった円が140円台に突入し、円安の傾向が加速していると言われていましたが、第二次世界大戦後の20年ほどは、1ドルが360円で固定されていた時代もありました。そのころと比べれば、今も十分円高です。円高・円安は数字の大きさだけで判断するものではないのです。

ポイント② 円高・円安そのものの意味
・円高……外国のお金と交換するときに少しの日本円で済む場合
・円安……外国のお金と交換するときにたくさんの日本円が必要になる場合
・円高と円安は「前と比べてどうか」で決まる